第4話 真夏の告白


私の高校生活は、片想いのままだけど、それなりに吉岡君と仲良く過ごせて幸せだった。

今日は1学期の終業式。

去年と同じようにせみが鳴いていた。

ちょぴり、去年の失恋を思い出して切ない気持ちになっていた。


終業式も終わって帰ろうと、校門のところまで行くと、香月君が来てた。

「よっ。岩崎さん。」

「話あるから来たんだけど、時間もらえる?」

「...うん。」

「吉岡から聞いてると思うけど、俺、おまえのこと中学の頃から好きだったんだ。」

ちょ、ちょっと待って、校門で、人がいっぱいいるところで、告白する????

「会うの断られたから、おまえの返事はわかってるんだけど、気持ち、伝えたくって、おまえに会いに来たんだ。」

「もしかして、今でも吉岡のこと好きなのか?」

「...うん。」

「だってさ。吉岡。」

気が付くと、後ろに吉岡君がいた。

「あとは、ふたりでよろしくな。」

手を振って帰っていく香月君。


香月君、何しに来たんだ?


私はその場で固まってしまった。

吉岡君はそんな私の手をつかんで、学校の裏庭に連れて行った。

高校の裏庭はじめてくるけど、中学校の裏庭に似ている。

あの日と同じように暑い日だった。

汗が背中をつたう...

「ごめん。なんか盗み聞ぎしたみたいで...。」

吉岡君は謝ってきてくれた。

「LINEで香月に呼ばれたんだ。」

吉岡君はバツ悪そうに聞いてきた

「今も、僕のこと好きなの?」

私はしばらく返事が出来なかった。

「岩崎さん、ごめんね。」

ああ、今、また、断られたんだ...。

ミーンミーン

せみがうるさかった。

「私、帰るね。」

やっと出た一言だった。

「待って!」

吉岡君が私を呼び止めた。

「去年の告白、まだ、有効かな?」

えっ!?

「高校になって岩崎さんのこと知って...気になるようになって...」

「気が付いたら、好きになっていたんだ。」

私は耳を疑った。

「その...よかったら、僕と付き合ってくれないか?」

あんなにうるさかったせみの鳴き声も聞こえないくらい、吉岡君の言葉が心に響いた。

私はうれし泣きをしながら、答えた。

「はい。」


一年越しの告白が今、実った。


              END

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真夏の告白 夢僮亜樹 @mutouaki

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