第3話 高校生活


「きゃはははっ!見た!見た!昨日のTV。」

私はパルちゃんと昨日のTVの話で盛り上がっていた。

「あそこで、あの歌い方はないよねw」

そこに吉岡君が来て、私の顔をじっと見た。

「なに?吉岡君?」

「岩崎さんって、よく笑うなって思って。」

「そうそう、美桜は、はしがころがっても笑うよ。」

パルちゃんがそう言った。

「中学の頃、そんなに笑ってたか?」

不思議そうに吉岡君が言ってきた。

「変わってないと思うけどな。」

「僕が岩崎さんのことあんまり見てなかったのかな。」

「今の岩崎さんよく笑ってかわいいと思うよ。」

「おっ、愛の告白ですか?」

パルちゃんが茶化した。

「ち、ちがうよ。」

焦った吉岡君ってかわいい♡


中間テストも終わって、席替えがあった。

吉岡君と山峰さんは席替えの少し前から、あまりしゃべらなくなっていた。

私はといえば

隣の席が吉岡君になって、落ち着かない。

そんな私にパルちゃんがこっそり教えてくれた。

「山峰さん吉岡君に告白したんだけど、フラれたらしいよ。」

「好きな人がいるんだって。」

パルちゃんには、お世話になりっぱなしだ。

本当は、この席も、くじ引きで決めたんだけど、元々は、パルちゃんが吉岡君の隣だったけど、内緒で変わってくれたんだ。


それにしても、吉岡君の好きな人って誰なんだろう?

「ん?岩崎さん?僕の顔になにかついてる?」

しまった!

吉岡君のこと考えてたら、ずっと、吉岡君の方、見てたんだ(汗)

「何でもないよ!」

私は、真っ赤になって焦った。


数学の授業、中間テストが返された。

「美桜、テスト、どうだった?」

パルちゃんが聞いてきた。

「数学だけは、バッチリ♡」

私は得意げに答えた。

「うわぁ、よかった。間違えたとこやり直して再提出でしょ。おしえて♡」

その様子を見ていた吉岡君が

「岩崎さん、中学のときから数学だけは得意だったもんな。」

「『だけ』はよけいでしょ!」

吉岡君が慌てて、

「ごめん、ごめん。僕にも教えてくれない?」

私は目をぱちくりとさせた。

「いいけど、代わりに、英語の翻訳、写させてくれる?」

いっぱい、しゃべれるようになって、うれしい。


――――放課後


忘れ物を取りに教室の戻ると吉岡君がひとりでいた。

「あれ?吉岡君どうしたの?」

なんかたそがれてる?

「別に――――」

吉岡君は、なんか思い立ったように話し始めた。

「あのさ、岩崎さんは、中学のときの友達と合ったりしてるの?」

「う~~ん、会えてないかな。」

「吉岡君はあってるの?」

「香月からは、よく連絡くるよ。」

「君のこと聞いてくるんだ。」

「どうして?」

私は不思議に思って聞いてみた。

「岩崎さん気付いてなかったの?香月、岩崎さんのこと好きなんだよ。」

え~~~~~~~~~~~~~~~っ!?

「最近、岩崎さんと仲いいって言ったら、会いたいからつれてきてって、頼まれたんだ。」

私は、目が点になっていた。

「今度の日曜日、暇?」

「暇だけど...適当に断ってくれると助かる。」

「そっか、わかった。」

なんだか、吉岡君、肩の荷がおりた表情をしてたな。


香月君が私のこと好きって意外だな。

だって、香月君ってモテてたし、彼女だっていたんじゃなかったけ?

吉岡君は友達の好きな人(私)に告白された訳だ。

でも、私と香月君の仲をとりもとうとするってことは、やっぱり、私のこと、なんとも思ってないってことだよね...。

だいぶん、仲良くなれたって思ってのに、ショック☆


ある日の授業中、吉岡君がメモを投げてきた。

『ベスト着ろよ!!山田の奴、君の背中ばっかり見てるんだよ。

 その...ブラの線が見えてるんだよ。』

げっーーーーー!マジ!?

私は慌ててベストを着た。

「ありがとう。」

私は吉岡君に小声でお礼を言った。


中学のときと違って、こんなに近くにいるのに、私の片想いは変わらない。


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