タイパの先にあるもの

雪乃兎姫

第1話

 何かしらのお題に沿って文章を書くというのは、意外と簡単のようで難しいことだと思う。これを読んでいる人も、何ら脈絡もない話題やキーワードに沿って文章を紡ぐというのは、少しばかり苦労をするのではないだろうか? それというのも、「天下無双」「ダンス」「布団」……なんだこれ感半端ない。むしろどっから拾ってきた単語なのかと思いつつ、こうして文をしたためているのであるが、正直なところ何も思いつかない。「また出たよ、無茶ぶりが……。」これで何回目? ね? 何回目? えっ、900文字? なんか前より文字数増えてねぇ? 前まで700文字だったよね? などと、文字稼ぎをしつつ、エッセイのジャンルに沿いたい。


 そもそもカクヨムはどうしてこんなお題を元に短編作品を募集しているのだろうか? 


 考えられることの一つは、書いている作家や読者を盛り上げることだと思う。頭を捻り、何かしらの物語やエッセイを書き、それを誰かが読む。一見すると単純であるからこそ、これまた難しい。


 そしてもう一つは作品数を増やすということ。これは単純にウェブ小説というサイトの性質上、人を呼び集め目を惹く宣伝目的であると同時に、直結して広告収入に寄与するからだ。1ページあたりの広告費がいくら。それは明確には指針が示されていないのだが、カクヨムの場合には大体1話2000文字25pvあたりで1円といった単価。もちろん作品や文章量によって前後するものの、概ねこれで合ってるはずだ。……ということは、それを還元しているサイトはそれ以上の収益でなければ経営として成り立たない。


 短編作品は長編小説とは違い、多くの時間を取られない。物によってはものの数分で一つの作品が読め、いくつもの作品に触れる機会に溢れている。昨今の流行りもの、いずれの場合にもまるで短編でも読んでいるような感覚に取られることはないだろうか? この流れは小説サイトに限った話ではなく、動画サイトを始めとしたコンテンツに流れを汲んだ形であり、日本だけでなく海外でも主流とのこと。


 私としては海外ドラマに端を発していると思っている。1話完結の物語をより多く紡ぐことで、更なる大きなテーマ作品に挑む。


 その果てにあるもの、それは……緩やかな衰退や淘汰ではないか?

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タイパの先にあるもの 雪乃兎姫 @scarlet2200

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