天下無双の布団ダンサー【KAC20255】
@kan-pan
天下無双の布団ダンサー
布団の中こそが、俺のステージだ!
冷たい夜風が窓を揺らし、外は凍える冬の世界。
だが、布団の中では違う。
ここは熱気渦巻くダンスフロア!
敷き布団は舞台、枕はセンタースポット、
俺こそが、この舞台を支配する天下無双のダンサー!
一歩外に出れば、俺はただの一般人。
目立つこともなければ、誰かに賞賛されることもない。
だが、この布団の中だけは違う。
ここでは俺が主役、俺がチャンピオン、俺が天下無双!
まずは 「布団ウェーブ」 !
掛け布団を抱え、ゆるやかに持ち上げ、
そして沈める──まるでスローダンスのように。
布団が俺の体を包み込み、完璧なフィット感を生み出す!
この技が決まれば、布団と俺は完全に調和する!
次は 「寝返りターン」 !
右へ! 左へ! 軽快なステップで寝返りを打つ!
布団の中の空気が流れ、熱が均等に行き渡る!
リズムよく体を回転させることで、布団との一体感が高まる!
この無駄のない動きこそが、快眠を生み出す秘訣!
そして、必殺の 「フットスルー」 !
布団から片足をすっと出し、温度を調整する!
冷えすぎたら足を引っ込め、暑くなればもう片足をスライドアウト!
これぞ天下無双の体温コントロール!
たった一本の足の出し入れで、完璧な体温バランスを実現するのだ!
布団の中での動きは、すべてリズムにのっている。
完璧な寝返り、体温調整、布団との調和。
これらをすべてコントロールしながら、俺は踊る。
誰にも見えないステージで、誰よりも華麗に。
だが、布団ダンスの本質は技術だけではない。
それは、自分自身との対話なのだ。
外の世界では、俺は無力だ。
何かを成し遂げることもなく、
特に才能があるわけでもない。
だが、布団の中では違う。
ここでは、俺が世界の中心。
誰に評価されることもなく、
誰に邪魔されることもなく、
俺は、俺だけのダンスを踊ることができる。
夜の静寂の中で、
布団に包まれながら、
俺はただ、一心に舞い続ける。
しかし、ダンスには終わりが来る。
朝日が射し込み、目覚まし時計がけたたましく鳴る。
布団のリズムは崩れ、
俺はステージから引きずり出される。
現実の世界が始まる。
そこでは、俺のダンスなど誰も知らないし、
誰も気にしない。
しかし、それでいい。
夜が来れば、再び俺は布団に潜り込み、
天下無双のダンスを踊るのだ!
そう、誰にも見えずとも、
布団の中こそが、俺の舞台!
今宵も踊れ、天下無双の布団ダンサー!
天下無双の布団ダンサー【KAC20255】 @kan-pan
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます