トリと少年

未羊

読み切り

 トリの降臨……。


 ある日、僕の目の前で起きた不思議な現象。

 見た者に幸運を与えるという、伝説の精霊「トリ」。

 そんな幻のような存在が、僕の目の前に現れた。


『少年よ、剣を取りなさい。やがてその名は天下無双の者として刻まれるでしょう』


 トリはそう言い残すと、僕の目の前から消え去っていった。


 それから、あっという間に数年の時が流れる。


「ふぅ、疲れたよ……」


 僕は疲れて布団に倒れ込んだ。

 小さな村の出身だった僕は、今は冒険者をしている。

 剣を取った僕は、剣の才能を開花させていた。


 ある時、ギルドでとある依頼を受ける。

 それは、街道近くの魔物の間引きというよくある依頼だ。

 街道を行き交う貴族や商人たちが、安全に行き来できるようにするという重要な案件。僕は、もちろんその依頼を受ける。

 僕の過ごしてきた村でも、魔物の被害は多かった。だからこそ、みんなを守らないとという意識が強い。

 僕は依頼を受けて街道へと向かっていく。ある程度魔物を倒していると、突然悲鳴が聞こえてきた。

 何事かと思って向かうと、兵士たちが戦っているではないか。

 どういう状況か分からない。

 じっと見てみると、近くでキラキラと光る何かが見える。


(くっ、あの魔物がなぜここに!?)


 僕は飛び出していき、空中でキラキラと光る何かを攻撃する。

 一匹、また一匹と倒していくと、ようやく兵士たちが落ち着いていく。

 何が起きたのか、兵士たちはよく分かっていないようだ。

 僕は斬り捨てた魔物を拾い上げる。


「こいつはダンスピクシーだね。不思議なダンスで、相手に幻を見せるんだ」


 僕が説明をすると、兵士たちは気まずそうな表情をしていた。魔物に踊らされていたからだろう。

 直後、馬車の扉が開いて誰かが出てきた。きらびやかなドレスを着た女の子だった。


「危ないところを助けていただいてありがとうございます。私はこの国の王女でございます。その腕を見込んで、よろしければ王国騎士になって頂けませんでしょうか」


 突然の誘いに困惑を隠しきれない。

 でも、不思議と悪い気はしなかった。

 僕はその誘いを受ける。


 数年後、僕は平民出身の筆頭騎士に昇り詰める。

 数々の武功を立て、トリに言われた通りの天下無双の者となったのだった。

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トリと少年 未羊 @miyou

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