第2話
綺麗に巻かれた長い髪を乱暴に掴まれた女の人が、あっという間に私の足元まで引きずられて来て床に転がされる。
意味分からないです………
確かにずっと私を睨んでいた人だけど、それを夜李さんに言ってないし、夜李さんは背中を向けてたんだから見えてもいないはず。
「夜李さん……?」
「そういう立場なんだよ。今の莉音ちゃんって」
「何もされてないです」
夜李さんは私の言葉なんて聞いてくれなくて、女の人を汚い物を見るような冷たく軽蔑した目で眺めている。
もちろんそんな夜李さんに、誰も何も言うはずがない。
「この子、瑆の。しかもVIP」
「知ってます……」
「弁えろよ。お前みたいなそこら辺のただのメスとは違うんだわ」
ずっとそのやり取りを少し離れた場所から見ていた黒服の中でも明らかに役職が上だと分かる人が、夜李さんの動きを伺いつつゆっくり近づいてくる。
………凶悪犯に詰め寄る警察官みたいな慎重さ。
「これとこれの連れ、PASS没収とペナルティ徴収」
「了解しました」
″マナー良く過ごしてくれよ″って大きめの声で言って、グルッと辺りを見回してからため息と共に元々座っていたソファーに深く座る
威厳とギャップにいつも驚く。
だって私の前に座る今の夜李さんは、″怯えてんの?″と豪快に笑っていて数十秒前とは別人過ぎるんだもん。
「VIPを不快にさせんのはナシでしょ。莉音ちゃん含めて10人もいないんだけどさ」
「厳しいんですね……色々と」
「まぁね。つーか、実際はこの場所で今1番怖い存在って何気に莉音ちゃんだったりすんの」
言いたいことは何となく分かる。
でも、今はルイさんと関わりがある訳でもないし……あれから一度も会ってもいない。
「仮に俺が死ぬほどやべー事になっても、雪城さんや三坂さんは100%動かない」
「三坂さんもですか?」
「俺の代わりはいくらでもいるから。けどさ、莉音ちゃんに何かあったら確実に今でもすぐ動くよ」
「……………」
「だからって頼んなよ?瑆といる内は俺も気にかけてやるからさ」
ルイさんに頼る気は離れた時点ですでにない。
だからって、夜李さんに気にかけて貰わないといけない程の問題もなさそうなんだけどな。
「瑆で対処出来ない厄介事、それと……瑆関係」
私を送ってくれる気でいるのか、珍しくお酒を飲まずに私と同じでオレンジジュースを飲んでいる夜李さんは違和感しかない。
そのグラスを指で弄りながら、さっきよりも落ち着いた声で話しているのを私はただ黙って聞いている
「アイツって読めないじゃん。怖いんだよね、馬鹿になりきれない馬鹿って何するか分かんねーから。嘘だろ?!って事、平気で出来るタイプの人間」
瑆の悪口ではなくて、これはきっと夜李さんなりの心配と本音
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