子どもの名前

 

第1話

女1「まり!」


女2「詩織!」


男1「二人ともどうしたの?」


女2「娘の名前のことを話してたら、お義母かあさんと喧嘩になったの」


女1「詩織よりは、まりの方が名前の響きが可愛いと思うけど」


女2「確かに私もそう思います。でも、詩織の字面は黄金比の如く美しいですよ。まりという名前がたとえどんな漢字を使ったとしても」


男1「祐実。おふくろは余命あと半年なんだ。その気持ちを汲んで、今回は譲ってやってくれないか?」


女2「今回? 私、今40だよ? 次なんてあるわけないじゃん」


男1「一体どうすれば……」


男2「私に任せなさい」


男1「父さん!」


男2「二人ともよく聞きなさい。今からリラックス効果のあるお香を焚く。気持ちが落ち着いたら話し合いなさい。いいね?」







女1「達也。祐実さんと話し合った結果、名前が決まったわ」


男1「結局何になったの?」


女1「まり」


男1「結局、祐実が折れたんだ」


女1「違うわ。詩織と書いてまりと読むの。名前は詩織まり


男1「これで一件落着だね。ところで父さん、あのお香の正体って何なの?」


男2「大麻だ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

子どもの名前   @hanashiro_himeka

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ