第2話

―――…SIDE 怜央




急にあいつの顔が見たくなって、気が付くと俺はバイクを走らせていた。



バイクに寄り掛かって、まだかまだかと優奈を待ち続けること、数分。



タタタッとこっちに向かって走ってくる……変な奴。



俺は咄嗟に身構えた。



そいつは、俺に向かって猛突進してきやがったから、俺は右手を振り被った。




が。




「わ~! 何で殴ろうとするの!?」




……この可愛らしい声は。




「自分で呼び付けといて、酷い!!」




……この口調は。




「もう、帰る!!」




……優奈、か?




「おい、待て待て。大体お前のその格好は何だ? 変質者かと思ったぞ? ん?」


「……ん? これ?」




自分の服を引っ張り首を傾げた優奈に、俺は短く「ああ」と答えた。

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