4☆ ご降臨???

地球に落ちた神ーーー


どれくらいの時が経ったのだろうか⋯。宇宙空間にある多くの惑星を避けながら通り過ぎ⋯流されるままでいると、アテナーシャが話しだした。


「父様⋯目的地にもうすぐ着きそうですわ⋯」


「何?」


「この銀河系の奥にある⋯あの青い惑星が到着地点のようです」


「アナ⋯わかるのか?」


「一点が光って見えますので⋯到着地点だと⋯」


「うむ⋯」


アテナーシャに言われ、その方角を見れば⋯その惑星は、確かに【青かった】。私には光って見える地点はないが⋯。


どんどん青い惑星に近づいていき⋯大気圏内に突入!


「ヤバい~ヤバい~⋯⋯」

「我々⋯多くの神がぶつかるのだ⋯⋯耐えられる⋯か?」

「消滅するぞ、これはーーー」

「あ~⋯詰んだな⋯⋯」


ブレーキなどはない。『止まれ!止まれ~!』と念じたが⋯勢いがあり過ぎ⋯止まれずに衝突。


そして⋯青い惑星に降臨⋯ではなく⋯青い惑星に落ちた。


《ドーン!ドドーン!ドドドドドーーン!》

《バリバリバリ!ピカッ!ビリビリ!!》

《ゴゴゴ!ゴゴゴゴゴ!ゴゴゴ⋯ゴ⋯!!》


流星⋯小さな隕石の欠片でさえ、大地に穴があいてしまうのだ。神々が突っ込んで来るという無謀な事態に、この惑星は耐えられなかった。


その衝撃は、凄まじかった⋯。我々の束が一カ所に落ちたのだから⋯。


青い惑星は⋯消滅の一歩手前まで壊れかけた⋯。


(⋯いや⋯二歩⋯三歩?⋯ぐらいか?実際は三歩手前くらいかもしれないな?)

 

とにかく自分達の惑星のように消滅してしまうのは《マズイ!》


「皆の神力で消滅を防ぐぞ!」

「『「はい!」』」


「皆で一斉に神力を、注ぎ込め!」


「『「はい!」』」


「ヘパ造作神力を!アナ救済神力を!」


「「はい!」」


「アディ⋯元戻神力を!」


「ゼス⋯元戻神力⋯暴走するわよ?コントロール出来ない力だもの⋯いいのかしら?」


「許可する!ぶちかませ!私も制御不能な創世神力を出す!!!」


「わかったわ!盛大にやっちゃうわね🖤」


「『「出力最大!!!神撃全開!はあァァァー!」』」


私ゼウスナーの指示のもと、ギリリッシアの神々は一斉に神力入魂!


《一神!二神!三神!全神で!ダァーーー!!!神力があれば⋯⋯元に戻せるーッ!》


《修復★修復★修復★エンドレス修復★★★》


気合いを入れて、技を繰り出し、破壊された青い惑星を修復しまくった。



地球に落ちた⋯その後ーーー


『気が付きましたか?』


「ここは⋯?何処ですか?我々は⋯?助かった?」


どうやら神技を繰り出し続けている途中で⋯意識を失ったらしい。⋯気がつけば、我々はこの惑星の神界にいた。


『ここは⋯宇宙神界では【テッラ】という名の惑星です。⋯私達は、地球と呼んでいます。今、貴神あなた達のいる世界は、地球の神界です』


「地球という惑星ですか⋯」

 

我々は⋯地球に落ちたようだ。惑星ギリリッシアに、この惑星⋯地球の神が何度か遊びに来たことがあるな、と思いながら神界を見渡した。


惑星の消滅は回避されてホッとした。


しかし⋯体の調子が⋯いつもと違う?ふと力を入れてみた。


「体の中の神力が湧いてこないな⋯どうやら無くなってしまったようだ⋯」


「父上⋯俺も⋯ない⋯力が出ない⋯アポロやアルテもか?」


「「うん⋯⋯」」


どうやら⋯惑星が消滅するほどの衝撃を修復する力は、凄まじいエネルギーが必要だったようで⋯我々の神力の全てを奪った⋯。そして力のない抜け殻だけの神に⋯。神力がなければ、長命を維持できない。人間に近い体になってしまった。


それに地球衝突前⋯ここまで一緒やって来た仲間達も⋯衝突の衝撃や修復で神力を使い果たし⋯消滅し、残りは我々だけになった。


多くの仲間と惑星を失った我々を不憫ふびんに思った地球の神達は、もう一度神力を復活させ、地球の神の仲間になる事を提案してきた。


『はじめまして、私は地球神界の代表神エジプト国の創世神ラー・アトゥムです』


「はじめまして、惑星ギリリッシアのゼウスナーです」


『【神聖連盟アルブム・サンクトゥス】よりほんの少し前に連絡がありました。ギリリッシアの神々を地球で受け入れて欲しいと⋯』


「そうですか⋯」


神聖連盟アルブム・サンクトゥス】とは⋯宇宙全体の神々の世界を監視し、神界の行政、司法、立法を担っている組織だ。

宇宙神界の中でも、特に神力が強い神達が在籍しており、神々の中で上位神として君臨している神もいる。

どうやら、その神聖連盟より我々の事を頼まれたようだ。


『そこで、神力を復活させ、地球の神々として君臨しませんか?』


「はぁ⋯神様ですか⋯。自分達の惑星が消滅しそうだったのに、助けようとは寛大すぎます。⋯地球の神よ」


故郷がなくなり、地球の神に⋯。また神に戻れるが⋯皆にどうするか聞いた。


「⋯うむ⋯神様に戻れる⋯かぁ。⋯神様業務は⋯もう嫌だな⋯。私は自由に生きたいが⋯お前達は?」


「父上⋯俺も⋯自由に生きたい」


「僕も神業に縛られず⋯自由に生きたい⋯」


「「「私達も⋯」」」


全員一致!ギリリッシアの神達一同は⋯迷う事なく⋯神様を辞める事にした。


あがめられる窮屈きゅうくつで退屈な日々とサヨナラ!普通に自由ライフをエンジョイするのだ!


「我々は⋯神に戻らず、人間界で自由に暮らしていきます」


我々の意思を伝えると、ラー・アトゥム神は、言いにくそうに話しだした。


『そうですか⋯実は⋯神聖連盟の会長より、ギリリッシアは自然豊かな惑星と聞いていまして⋯。豊かな惑星ギリリッシアの神ならば⋯地球の環境問題の解決に役立ってくれるのでは、と思ったのですが⋯』


「そうでしたか⋯。しかし⋯我々は神に戻る気はありません。お世話になるのに、わがままを言って申し訳ないです」


『そうですか⋯。残念ですが仕方ありませんね⋯』


「ええ、家族全員で出した結論です。よろしくお願いします」


ラー・アトゥム神は、とても落胆した表情で、我々が出した結論を受け入れてくれた。


神生じんせいから人生じんせいへ⋯人間界に住み、新生人として生きて行くことにした。

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