西日
西日がまぶしい。
部活の後にこの日差しを受けると、せっかく引いた汗がまた吹き出してしまいそうだ。
「おい、何ぼーっとしてんだよ」
沈んでいく太陽を眺めていると、少し上から声がふってきた。
「ぼーっとなんかしてないよ!」
むっとして言い返す。
隣にいたのは自分より頭一つ分背が高い男子。
幼馴染で、同じ部活で、それからあたしの好きな人。
「まあ、今日はいつもよりきつかったしなー。ぼーっとするのも無理ないか」
「だからぼーっとしてたんじゃないってば!」
「仕方ない、仕方ない。そんな強がんなって」
「人の話を聞け―――――!!!!」
「よし」
ぽんと頭の上に手を置かれた。
「な、何よ」
にっと笑う。
この屈託のない太陽みたいな笑顔が好きなのだ。
「このお優しいオレが冷たいドリンクをおごってあげよう」
「え?」
いつの間にか財布を取り出して、ちゃっかり鞄をあたしに持たせて近くの自販機まで走っていく。
それからすぐに帰ってきた。
2本のペットボトルを持って。
2種類のジュースを持って。
「ほれ。どっちがい?」
「え……っと、こっち」
「ほら」
「……ありがと」
彼は残ったもう一本のペットボトルのキャップをさっさっと開けて、一気飲みしてしまう。
その男らしさに少し見とれて、けどすぐに思い直して自分のペットボトルのキャップを開ける。
いつもならこれくらいの量、あたしも一気飲みなのに……。
飲んでも飲んでもあまり減らない。
やっと半分。
あとは持って帰って大事に飲もう。
そう思ってキャップを閉めた。
「あれ?もう飲まんの?」
「え?あ……いや……」
持って帰って大事に飲む、なんて口が裂けても言えやしない。
「飲まんのならくれ」
あたしがいいとも言ってない内に手からペットボトルが消えた。
それは隣の男子の手の中で。
そしてキャップは開けられて、中身は彼の口の中に消えていく。
(……か、間接キス……っ!?)
一気に顔が赤くなるのが分かった。
見られちゃまずい!と顔を背けるが少し遅かった。
「ん?顔赤くね?」
「西日のせいでしょ!!」
「ふーん」
「さっさと帰るよ!」
「おう」
西日によって長くなった2つの影がくっついたり、離れたりを繰り返していた。
fin.
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