第30話 関ヶ原異聞:アンドロイドの鬨

 慶長5年(1600年)、天下分け目の関ヶ原。

 戦場を覆うは、刀槍のきらめき、鬨の声、そして硝煙。しかし、その中に異質な光があった。

 佐竹義宣の軍勢に配備された、異形の兵。

 鋼鉄の肉体、無機質な瞳。アンドロイド。

 彼らは、異次元技術の粋を集めて作られた、人造の兵士だった。

「全機、目標を捕捉。徳川家康を排除する」

 義宣の命を受け、アンドロイドたちは動き出した。

 彼らの動きは、人間を遥かに凌駕していた。

 刀を振るえば、風を切る音さえ置き去りにする速度。

 銃を撃てば、正確無比に敵を射抜く精度。

 彼らは、戦場を蹂躙した。

 徳川家康の軍勢は、混乱に陥った。

「あれは、化け物だ!」

 兵たちは、恐怖に震えた。

「殿!ここは、一旦退却を!」

 家臣たちは、家康に退却を進言した。

 しかし、家康は首を横に振った。

「まだだ!まだ、勝機はある!」

 家康は、自ら刀を抜き、アンドロイドに斬りかかった。

 しかし、その太刀は、アンドロイドの鋼鉄の肉体を傷つけることはできなかった。

「目標、排除」

 アンドロイドは、無機質な声で告げると、家康の胸を貫いた。

 家康は、膝をつき、倒れた。

「ば、馬鹿な…」

 家康は、最期の言葉を呟いた。

 徳川家康の死は、戦場の空気を一変させた。

 徳川軍は、総崩れとなった。

 佐竹義宣は、勝利を確信した。

「全軍、突撃!敵を殲滅せよ!」

 義宣の号令一下、佐竹軍は総攻撃を開始した。

 アンドロイドたちは、その先頭に立ち、敵を圧倒した。

 関ヶ原の戦いは、佐竹義宣の勝利に終わった。

 徳川家康の首級を掲げ、義宣は高らかに宣言した。

「我こそが、天下を治める者!新たな将軍、佐竹義宣である!」

 こうして、アンドロイドの力によって、佐竹義宣は天下を掌握した。

 しかし、その勝利は、新たな戦いの幕開けでもあった。

 アンドロイドの力を手に入れた義宣は、さらなる野望を抱き始める。

 そして、その野望は、やがて、日本全土を巻き込む戦乱へと繋がっていくのだった。

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