第20話 茨城大震災とナマズの影

 アステロイドの危機を乗り越え、ユウトたちは再び平穏な日々を取り戻していた。しかし、その平穏は長くは続かなかった。

 ある日、茨城県を中心に未曾有の大地震が発生した。街は瞬く間に瓦礫の山と化し、多くの人々が家を失った。

「これは…!尋常じゃない地震だ…!」

 ユウトは、変わり果てた街の姿に愕然とした。

「地震の規模からして、ただの地震ではないかもしれません」

 八千代が、深刻な表情で言った。

「まさか…!ナマズ…!」

 ユウトは、かつて日本を揺るがした巨大ナマズの存在を思い出した。

 その時、瓦礫の中から、異様な姿をした人影が現れた。それは、上半身が人間、下半身がナマズという、異形の姿をしていた。

「ユウト…!久しぶりだな…!」

 人影は、憎しみに満ちた声で、ユウトに語りかけた。

「貴様…!一体、何者だ…!」

 ユウトが尋ねると、人影は答えた。

「私は、貴様の義兄、シンゴだ」

「シンゴ…!貴様、死んだはずでは…!」

 ユウトは、驚愕した。シンゴは、かつてユウトが誤って殺してしまった義兄だった。

「私は、ナマズの力と融合し、新たな力を得たのだ。そして、貴様に復讐するために、この世に戻ってきた」

 シンゴは、憎しみに満ちた目で、ユウトを睨みつけた。

「貴様…!人々を苦しめるために、こんなことを…!」

 ユウトは、刀を手に取り、シンゴに斬りかかった。

 シンゴは、ナマズの力を操り、ユウトの攻撃をかわし、強力な水流で反撃してきた。ユウトは、水流を避けながら、シンゴに近づこうとしたが、シンゴの水の攻撃は、あまりにも強力で、なかなか近づくことができない。

「ユウト…!ここは、私に任せてください!」

 義宣が前に出た。

「シンゴ…!貴様の相手は、私だ!」

 義宣は、水戸納豆の力を解放し、シンゴに突進した。

「うおおおおお!」

 義宣の体から放たれた光が、シンゴの水を蒸発させ、シンゴを吹き飛ばした。

「今のうちに、ユウト!」

 義宣の声に、ユウトは、刀を手に取り、シンゴに斬りかかった。

 ユウトの刀が、シンゴの体を切り裂くと、シンゴは、光を放ち、消滅した。

「シンゴ…」

 ユウトは、消えゆく義兄の姿を見つめながら、呟いた。

「ユウト、これで終わりではありません。シンゴは、ナマズの力を利用しただけです。真の敵は、ナマズを操る者です」

 八千代が、深刻な表情で言った。

「ナマズを操る者…!一体、誰が…!」

 ユウトが尋ねると、八千代は答えた。

「シンゴは、かつて印刷屋を営んでいました。印刷屋は、情報を操る場所です。ナマズを操る者は、情報を操り、人々の心を操っているのかもしれません」

「情報を操る…!まさか…!東京国将軍…!」

 ユウトは、東京国将軍の存在を思い出した。

「東京国将軍は、ゴマ信用システムで、人々を監視し、情報を操作しています。ナマズを操る者も、同じように、情報を操作し、人々の心を操っているのかもしれません」

 秀吉が言った。

「東京国将軍…!必ず、貴様を倒し、人々を救う!」

 ユウトは、刀を手に取り、東京国へと向かった。

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