第7話 横川大激闘

 ゴウレムとの激闘の後、ユウトたちは、疲弊した栃木の復興に尽力していた。しかし、その努力も虚しく、イバラキング軍の残党によるゲリラ戦術は止むことがなかった。

「栃木は、もはや時間の問題だ…」

 義宣は、憔悴した表情で呟いた。その言葉通り、栃木は、イバラキング軍の徹底的な破壊工作により、徐々に支配下に置かれていった。

 その時、新たな脅威が迫っていた。群馬県が、栃木の混乱に乗じて、侵略を開始したのだ。

「栃木の弱りきったところをいただくっぺ!」

群馬軍を率いるのは、群馬弁を操る女将軍「ミーソパン」。彼女は、その名の通り、味噌パンをこよなく愛する魔法使いだった。

「ミーソパン様!栃木の防衛線は、すでに崩壊寸前です!」

 部下の報告に、ミーソパンは、余裕の笑みを浮かべた。

「いいじゃないの。楽に勝てるってことだっぺ。さあ、群馬の力を、見せてやるっぺ!」

 ミーソパンは、魔法の杖を振り上げ、魔法名「ミーソパン・トルネード」を発動させた。すると、巨大な味噌パン型の竜巻が、栃木の街を襲った。

「な、なんだ、あれは…!」

 ユウトたちは、突然現れた竜巻に、驚愕した。竜巻は、建物を次々と破壊し、人々を吹き飛ばしていった。

「くっ…!あれが、ミーソパンの魔法か…!」

 ユウトは、刀を構え、竜巻に斬りかかった。しかし、竜巻は、ユウトの攻撃をものともせず、さらに勢いを増していった。

「ミーソパン様!敵のヴァンツァー部隊が、接近しています!」

 部下の報告に、ミーソパンは、答えた。

「問題ないっぺ。群馬のヴァンツァー部隊を、出動させるっぺ!」

 ミーソパンの命令により、群馬のヴァンツァー部隊が、栃木の空へと飛び立った。彼らのヴァンツァーは、群馬の名産品である「だるま」をモチーフにした独特なデザインで、高性能なレーザー砲を装備していた。

「だるまビーム!」

 群馬のヴァンツァー部隊は、一斉にレーザー砲を発射し、ユウトたちのヴァンツァー部隊を攻撃した。

「くっ…!群馬のヴァンツァーも、侮れない…!」

 義宣は、槍を構え、群馬のヴァンツァーに応戦した。

 アスカは、シルフィードを操縦し、ミーソパンに直接攻撃を仕掛けようとした。しかし、ミーソパンは、魔法障壁を展開し、アスカの攻撃を防いだ。

「無駄だっぺ。私の魔法は、そう簡単には破れないっぺ」

 ミーソパンは、そう言うと、魔法名「ミーソパン・メテオ」を発動させた。すると、無数の味噌パン型の隕石が、空から降り注ぎ、街を破壊した。

「きゃあああ!」

 悲鳴が響き渡る中、ユウトたちは、必死に人々を守ろうとした。しかし、ミーソパンの圧倒的な魔法の力の前には、無力だった。

 その時、秀吉が、静かに言った。

「ここは、一度退きましょう」

 秀吉の言葉に、ユウトたちは、戸惑った。

「しかし、秀吉様…!」

 ユウトが言いかけると、秀吉は、答えた。

「今は、無駄な戦いを避けるべきです。わたくしには、考えがあります」

 秀吉は、そう言うと、ユウトたちを連れて、戦場から離脱した。

彼らが向かったのは、栃木と群馬の県境にある、横川駅だった。

「横川…?まさか、秀吉様…!」

 ユウトが呟くと、秀吉は、にやりと笑った。

「そうです。横川といえば、釜めしです。わたくしは、この釜めしに、ある魔法をかけました」

 秀吉は、そう言うと、釜めしの蓋を開けた。すると、中から、眩い光が放たれた。

「これは…!」

 ユウトたちは、驚愕した。釜めしの中には、無数の小さな光の粒が浮かんでいた。

「この光は、人々の希望の光です。この光を浴びた者は、勇気と力を得ることができるのです」

 秀吉は、そう言うと、光を空へと放った。すると、光は、空一面に広がり、栃木の人々を包み込んだ。

「あ、あれは…!」

 人々は、光を浴び、力を取り戻した。そして、彼らは、武器を手に取り、群馬軍に立ち向かった。

「俺たちは、まだ終わらない!栃木を守るんだ!」

人々の叫び声が、街に響き渡った。

 ユウトたちは、再び群馬軍との戦いに身を投じた。希望の光を浴びた彼らは、以前よりもはるかに強く、そして、勇敢になっていた。

「ミーソパン!貴様の好きにはさせん!」

 ユウトは、刀を構え、ミーソパンに斬りかかった。

「だるまビーム!」

 群馬のヴァンツァー部隊も、レーザー砲を放ち、ユウトたちを攻撃した。

 しかし、希望の光を浴びたユウトたちは、群馬軍の攻撃をものともせず、反撃を開始した。

「はあああ!」

 ユウトの刀が、群馬のヴァンツァーを切り裂いた。

「ミーソパン・トルネード!」

 ミーソパンは、再び竜巻を発生させ、ユウトたちを攻撃した。

 しかし、アスカは、シルフィードのバリアを展開し、竜巻を防いだ。

「今だ!」

 アスカの合図で、ユウトと義宣は、それぞれの必殺技を放ち、ミーソパンに集中攻撃を浴びせた。

「ば、馬鹿な…!私の魔法が…!」

 ミーソパンは、信じられないといった表情で、崩れ落ちた。

 群馬軍は、総大将を失い、戦意を喪失した。彼らは、武器を捨て、群馬へと撤退していった。

栃木は、ユウトたちと人々の力により、群馬軍の侵 略を退けることができた。しかし、戦いは、まだ終わらない。イバラキング軍の残党、そして、八千代の脅威が、ユウトたちを待ち受けていた。

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