世界のルール・けだまのちモヒカン~夢か現か~【KAC20254】
夢月みつき
「けだまのちモヒカン」
あの夢を見たのは、これで9回目だった。
青空には茶のたわしが無数に浮いている。
道路には荒ぶる暴走大根族が我先にと走っていて、道の向こう側からは大きな紫色の兎がぽよんぽよんと跳ねながら来る……
「暴走大根族」(AIイラスト)
https://kakuyomu.jp/users/ca8000k/news/16818622171107992143
それを避けながら私は今日も通学している。これが夢なのは分っているけれど、何せ9回目なんだ。
次、何が出て来てどんな場面になるのかは、手に取るように分かるようになってしまった。
どうしてこんな夢を何度も見るようになったのだろう?
私が考えていると、可愛い毛玉ちゃんと荒くれながらも優しいモヒカン野郎の夫妻が赤ちゃんを連れて私の横を通り過ぎようとした。
私はいつもと同じく軽く会釈すると、モヒカン夫妻はにこやかに手を振ってくれた。
学校に着くとだいこん侍が生徒指導をしていた。
私の天然の茶髪に気が付くと、だいこん侍は私の頭を腰に差している大根で殴ろうとして来た。
その大根をはっしと私は真剣白刃取りの構えで両手に受け止めた所で、背後からやってきたでかいマリモに頭から食われた後、いつものように夢から覚めた。
🐑
その話を母にいつものように話すと私に母はこう言った。
「あんた疲れてるのよ」とそして、私は登校しようと家を出発した。
すると、道の向こうからモヒカン夫妻が歩いて来て会釈をして行った。
「あれ? これ夢じゃないよね」
私は慎重に考えて会釈をしなかった。道路には暴走している大根族……の代わりに二宮金次郎の銅像と自由の女神がデッドヒートしていた。
「おかしい……この世界は私が生きている現実じゃないのか?」
とつぶやいていると、空に浮かぶマシュマロ雲がボタボタと落ちて来た。
私は雨宿り、もといマシュマロ宿りをしようと近くの家の軒下を借りた。
家の中からガタガタと音がする、家の中の人が出て来るのかなと思って横に退くとたらこ唇が付いた大きなハンバーガーが出て来たのでびっくりした私は、逃げようと走り出した。
「クチビルハンバーガー(AIイラスト)」
https://kakuyomu.jp/users/ca8000k/news/16818622171107827997
しかし、後ろから迫って来るクチビルハンバーガーにあわや食われそうになった時、クチビルハンバーガーを追って来たモヒカン野郎が、クチビルハンバーガーをグーパンで殴り倒してしまった。
「ありがとうございます」とお礼を言うとモヒカン野郎の肩に乗っていた白い毛玉ちゃんが私に話しかけて来た。
「……あなた今朝、私達に話さなかったでしょう? だから、この世界がおかしくなっているのよ」
「そうなの?」
「モヒカン&毛玉ちゃん夫妻」(AIイラスト)
https://kakuyomu.jp/users/ca8000k/news/16818622171107704526
私が聞き返すと「この世界は無限ループで、あなたはこの10回目にループから出られるはずだった」らしい。
私はもう一度、やり直せないのかと聞くと毛玉ちゃんはこう言った。
もう一度、戻ったら私達にいつものように話せば抜けられると。
無限ループ11回目で私はこの世界から抜けることが出来た。
終わり
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最後までお読みいただきありがとうございました。
世界のルール・けだまのちモヒカン~夢か現か~【KAC20254】 夢月みつき @ca8000k
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