第1話

街中にダンジョンができた。

世はダンジョン探索時代なのだ。


そんな売り文句の異世界ものが増えている。

「あーあ。現実でもダンジョン出てこないかなぁ」ふと呟く。

最近異世界ものにハマっている俺。

小説に漫画にアニメ。どんだけ面白くなくても「異世界もの」っていうだけで見てしまう。なんで見てしまうんだろうか?よくわからないが見てしまう。多分憧れているからだろうが...。


そんな俺が絶対にやること。それは「善行」だ。言わば人助けってやつだ。なんでやってるかって?」神が見ているかもしれないからに決まっているだろ!!!」

おっと失礼。「神様がお見になられているから」ですね。


まぁ、こんな話をしててもしょうがないのでざっと俺の紹介をしよう。

『明石彰人(あかいしあきひと)24歳 社会人2年目でしっかりと働いている』

ざっとこんな感じか。

誰に向かって話しているかわからないが適当に呟いておこう。


時刻は午後5時半

「お疲れ様でした!」

先輩に挨拶をし定時退社だ。うちの会社は基本的に残業を認めていない。定時になると帰らなければならない。最高だ。


「お疲れ!この後飲みにどう?忙しかったら断ってくれ」

女後輩を飲みに誘ってみる。

もちろん強要はしない。

「いいですね!いきましょいきましょ!」

女後輩は意外にも乗り気で返してきた

「おぉ!でも本当に大丈夫か?」

「大丈夫ですよ!でも誘ってきたのは先輩でしょ?」

「おっとそうだった笑なら行こうか!」

「行きましょう!」

女後輩と一緒に会社を後にする。



一軒目、二軒目と飲み終わりそろそろ解散といったところでそれは起こった。

「キャー!!!!!!!!!」と叫ぶ女性の声。

「なんだ?」声のした方向に目線をやる。

すぐ近いところでナイフを持っている男がいた。すぐに誰かを刺してしまいそうな勢いでこちらに向けて走って来ている。

お酒の影響もあってか、後輩の反応が少し遅れた。

「危ない!」女後輩を突き飛ばす

「え?」女後輩は何が起こったのかわからないような声を出す。


胸の辺りが熱い。痛みがある。そっと胸を見ると一本のナイフ突き刺さっており、その周りが赤くなっている。

「・・・・ん・い。・・せん・・ぱい!」

後輩の方を見ると何か叫んでいる。何を言っているか聞き取れない。後輩は無事でよかった。安心したら意識がだんだんと無くなっていく。あーあ、俺はここで死ぬのかな。もっと生きたかった...な......。


意識が無くなった。

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