朱殷の空

甘川 明

血で染った夜

私が住んでいるこの街では定期的に空が血で紅く染まる。

その日は決まってひとがこの世を去る。そして亡くなった人がいる家に地域の人達が全員集まると言う不思議な風習があった。

今日もまた空が血で紅く染まった。

でも今日は誰も死んでいないはずだ。

しかし今日は私の家に人が集まった。

そのため私の家の誰かが死んだ。ということだけはわかった。でも誰も死んでいない、みんな元気だ、私は誰が死んだのか不思議でしょうがなかった。

その時だ、いつもなら皆私に会釈するはずなのに、今日は誰1人会釈してくれないし顔も合わせてくれないでいる。無視されているのだろうかと思った。

なぜ皆が会釈してくるかと言うと私の祖父が村長だからだ。そのため会釈しないわけが無いはずなのだ。私を無視したらこの村に居られなくなることも皆知ってるはずなのだが……


とその時1人だけ私に会釈してくれる人がいた。その子はまだ小学校にも上がってないはずの子なのにいい子だなぁと思っていたら……その子が


「ままぁーあそこにいるお姉さんだァーれ?」


と言った。するとその子のお母さんが


「何言ってるの?あそこ壁しかないわよ?」


と言っていた。

私がいるのに、なんで……と、思った……すると


「でもさ!ままぁーあそこのお姉さん見たことある……えっとねぇ……あっ!あそこの写真」


その子は写真を指さした。そこには私か写っている


「え?何言ってるの?あのこは村長さんの孫娘さんよ?今日……したのよ?」


とその写真を見たその子のお母さんが言った。そして私は思い出した。

空が朱殷に染まるまでのことを


私は両親にDVや暴言を吐かれていた。それが嫌になり私は冬の凍った川へ飛び降りた……


私は親が家を出たけたのを見計らって、走って家を飛び出した。靴を履くのを忘れたのか冷たく冷えたアスファルトで足の皮膚が剥けかけて痛いがその痛みも心地よかった。息が上がり橋につけるか心配だったが川に着いた。

私は橋の上から冬で冷たく凍った川を見下ろした。そして冷たく凍った川に私は飛び降りた、私の重さで氷が『パリン』と割れ私は水の中に入る、私に氷が刺さり水が赤くなった、その赤で空も赤くなる川に流されるにつれて意識が遠のいていく。もう感覚もない時に村のおばあさんに拾われた……


「なぁあんた村長の孫娘だろ?生なさいな」


でも……私はその時既にはもう……死んでいた……


それが空が朱殷に染まる数時間前

私はなぜ忘れていたのだろうか……

でも思い出してもいいことは無い……辛いだけだった。





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朱殷の空 甘川 明 @Kam22

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