11月23日

(―――痛い)


「何を言っている。こうなることはずっと覚悟して来ただろう」


 毎月のように動けなくなった体に、今日は太く長い槍のようなものが突き刺さっている。もしかしたら、これまでもこれが刺さっているから動けなかったのかもしれない。


(なんでこんなことをするんだ)


「だから何度も言っているだろう。こうなる運命だと」


(抜いてよ)


「無論、不可能だ。ほら」


 そう体躯の大きい男はその槍を動かそうと握る―――ことはせず、自分自身の矢を俺の体に打ち込む。


(あがっ……)


 もしかしたら、俺は先月の夢が良かったことだけを頼りに、この不可解な夢に希望を抱いていたのかもしれない。

 これまで見た9回の夢の中の住人達は、決まって俺の体に何かしらのアクションを起こしてきていた。一番初めに夢を見た1月20日に水刃で手足に傷をつけられて以来、角で殴打されたり耳を挟まれたりなどの拷問まがいのことを受けていた。

 前回はそのようなことなく朝を迎えられたはずなのだが、思えばあの朝から体がだるくなっていたような気がする。


 結局、何も信じてはいけないのだ。

 その言葉を噛みしめながら、俺は最後の矢を顔に受けた。

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