15禁版【桜梅桃李】WD2025

.六条河原おにびんびn

第1話


 わたくしのお慕い申し上げる梅子めいこお嬢様の側近を外され早1週間と数日が経とうとしていました。

 梅子お嬢様から、桜子さくらこお嬢様にご相談なさったそうでした。梅子お嬢様は私に手巾をくださいました。梅子お嬢様の楚々とした甘い香りが漂い、私は肌身離さず、寝るときも傍に置いて過ごしました。

 梅子お嬢様には新しく、憎き杏珠郎あんじゅろう――ではなく、伯島はくとう桃季つきという忌々しい男が側近としてお付きになりました。この男が胡散臭いのです。側近というのは顔を見せ、頭髪を整え、衣服の乱れを赦さず、松竹林殿しょうちくりんでん家の鑑であるべきなのです。だというのに伯島という男は花粉症だといってマスクを外さず、目元に華美な化粧を施しているのです。多様性のご時世といえども、それは私事でやっていただきたいものです。しかし大旦那様も奥方様も、桜子お嬢様さえ何もおっしゃいませんでした。梅子お嬢様の側近だからでございましょう。貰い子の梅子お嬢様を、松竹林殿しょうちくりんでん家の正式な場には出さないことにしたのでしょう。それもすべて、実子の桜子お嬢様に対する忖度そんたくなのでございましょう。桜子お嬢様は、そのようなことを気にする御方ではないように思われますけれど……


 ところが、運命は私を見捨てませんでした。不謹慎なことではございますが、松竹林殿の屋敷に一通の挑戦状が舞い込んできたのです。その不届き者は怪盗ペシェ。日時まで明かし、松竹林殿の秘宝を盗みに参上するというのだから、屋敷中は大変な騒ぎでございました。

 旦那様と奥方様は避難を兼ねてすでに海外へ旅行にお出掛けなさいました。桜子お嬢様も渋々というかたちではございましたが、珍しく旦那様と奥方様について行かれました。そしてなんと、新しい側近では不安だからと、梅子お嬢様の臨時の側近も任されたのです。憎き怪盗ペシェ。しかし私はこの憎き不届き者に感謝しなければならなかったのです。


 私は梅子お嬢様の庭園「白梅献香はくばいけんこう園」で一人座面に伏せっている梅子お嬢様を眺めておりました。梅子お嬢様はこの庭園に来るとき、側近にいとまを与えるのでした。それにしても伯島の野郎は、本当に、梅子お嬢様のお言葉を額面通りに受け取りやがったのでしょうか。暇を出されても、梅子お嬢様のお傍を離れないのが松竹林殿家の下僕しもべの務めです。それが分からないとはやはり愚かな男です。何故あのような粗忽者が梅子お嬢様の側近に慣れたのか……!

 私は怒りに震え、また、一人の梅子お嬢様を堪能できる時間の惜しさに我に帰るのでした。

 梅子お嬢様は旦那様と奥方様、桜子お嬢様が3人で避難を兼ねての海外旅行に行かれたことについて心を痛めているものかと思いました。ですが梅子お嬢様は、いつものようにガゼボの座面にひれ伏すこともなく、むしろ馨しい清楚な花のように座り、小さな包みを手に乗せて眺めていらっしゃいました。私は視力はいいほうでしたが、そこまで小さいものは見られませんでした。単眼鏡を取り出して見てみますと、それはお菓子のようでした。クッキーだと思われます。チョコチップクッキーや、プレーン、他に何種類かあるようで、袋の口には淡いオレンジ色とも色褪せたピンク色ともいえない儚い色味のリボンが結んでありました。

 梅子お嬢様はまるでそれを宝物みたいに眺めているのでした。

 梅子お嬢様はクッキーがお好きなのでしょうか。私の考察では梅子お嬢様は和菓子、特にたい焼きがお好きでいらっしゃったと思っていたのですが……

 これをリサーチ不足といわず何というのでしょう。己の知識不足に恥じ入るばかりです。即刻手帳に記しました。梅子お嬢様のお好きでいらっしゃるお菓子はたい焼きと、クッキー。お飲み物はロイヤルミルクティー。基本的に好き嫌いはないようですが、和食がお好きなようです。特にお蕎麦。


 梅子お嬢様は熱心にクッキーの包みを見ていらっしゃいました。早くお召し上がりください。そしてお好きなお菓子を味わうお顔を見せてください。私は梅子お嬢様の幸せに満ち満ちたお顔を拝見したいのです。間違っても、私があの場に行き、梅子お嬢様からクッキーを奪い取って、目の前で踏み砕かせていただくなんて真似は……そんなことはあってはならないことです。梅子お嬢様の失意のお声、悲しみに歪むお顔、そんなことがあってはならないのです。

 乾いたケダモノの息吹が聞こえたかと思うと、その発生源は私自身でありました。私の全身を巡る血潮は煮え滾り、薬湯に浸かったかのように肌は火照りはじめていました。ことに灼熱感を帯びた血は、私の下腹部へ集まり、私の海綿体に染み渡っていくのでした。そこは鼓動とは別の脈を打ち、迫り上がっていくのが分かりました。いつもどおりのことでした。ここで催してしまうのは、いつものことなのでございます。

 梅子お嬢様……

 私はクッキーを眺めている現実の梅子お嬢様ではなく、私にクッキーを奪われ、踏み砕かれて泣き噎ぶ妄想の梅子お嬢様を眺め、制服の上から膨らむものを撫で回しました。この1週間と数日の間、私にはそれをする理由がありませんでした。哀れな梅子お嬢様のお傍にいられないというのに、何故私がそれをするのでしょう。私は不能になったのです。私は不能になったのだと思っておりました。しかし梅子お嬢様……! 梅子お嬢様……!

 久々の官能に私は打ち震えました。血の通った喜び。梅子お嬢様のふさいだお顔! 大きな瞳が涙でひしぐ美しさ! 

「梅子お嬢様………っ、梅子お嬢様………」

 私は焦らしました。すぐに実行に移そうとは思いませんでした。

 梅子お嬢様はクッキーの包みに頬擦りしました。健気けなげ幼気いたいけな梅子お嬢様。そのお顔が朗らかであればあるほど、私の脳裏に居座る梅子お嬢様は泣き叫ぶのです。私の足元に膝を着き、私の足の下で砕け散るクッキーを救おうとするのです。

 制服越しの刺激では物足りなくなった私は、巨大なナメクジを露出しました。そして今までの憂さ晴らしをしました。

 私は身震いし、その後、仰け反りました。嗅ぎ慣れているはずの栗の花の匂いが今日は新鮮に感じられました。

 私は余韻に浸っていました。梅子お嬢様はクッキーの包みを抱いて、はしたなくもお履物を脱ぎ、ガゼボの座面に丸まっていらっしゃいました。まるで日向ぼっこ中の猫のようでいらっしゃいました。

周百木すももぎ……」

 私の足元から嗄れた声が聞こえました。見下ろすと、手足を縛られ、シャクトリムシのように歩く男が、それこそ擦り寄る猫のようにそこにいたのです。これは杏太郎きょうたろうという男で、全身を焼かれたために声は嗄れ、爛れた肌には包帯が巻かれていました。両足を縛られ、両手も背中で拘束されているために身体を波打たせながら移動するのです。そういう習慣でしたから防水シートのような白い服は常に汚れ、包帯も乱れていました。

「いかがされました」

「梅子お嬢様はお休み中だ……放っておいてやれ……」

「放っているではありませんか」

「監視をやめろ……」

「監視をやめろですって? それでは有事の際はいかがしろというのです」

 杏太郎は答えませんでした。シャクトリムシのように肘と膝を屈伸させ、ガゼボのほうへ向かっていくのです。

 会話は聞き取れませんでしたが、杏太郎は梅子お嬢様に声をかけてたようでした。梅子お嬢様は特に驚いたふうもなく、御身おんみを起こされました。お召しになっていた白いワンピースの皺を直す姿のあまりの麗しさ。杏太郎のような朴念仁には、その趣きを理解することもできず、梅子お嬢様のお傍に置いていただけることの意味、その価値の半分も感じることはできないのでしょう。愚かも通り越すと憐れなものなのです。

 

 梅子お嬢様のお休みの時間が終われども、伯島は戻って参りませんでした。代わりに私が梅子お嬢様をお迎えに上がりました。すでに杏太郎はおりせんでした。お膝の上にクッキーの包みを置き、小さな滝を作るオブジェのせせらぎに聴き入っていらっしゃるようでした。

「梅子お嬢様、お時間を過ぎています。旦那様や奥方様、桜子お嬢様がご不在だからといって、羽目をお外しにならないように。たるんでしまわれては松竹林殿に仕える者たち一同、困惑してしまいます」

 梅子お嬢様の前で大きな瞳が私を見上げました。私はひざまずきます。するとぶどうジェリーのように輝かしいお眼が私を追いかけるのです。

「まぁ、ごめんなさい。今行きます」

 梅子お嬢様は伯島を待っていらしたのでしょう。しかし弁解なさることもしませんでした。以前、私が叱責いたしたためなのでしょう。なんという健気さ! この周百木すももぎ李里りさと、一生ついて参ります。

「そちらの御品は?」

 梅子お嬢様はふと私から、蛋白石オパルスも羞じらうほど瑞々しいお目をお逸しになったのです。

「認められたものですか? お預かりさせてくださいませ。成分を分析いたしませんことには」

「これは違います、怪しいものではございません」

「何が違うと仰せになるのですか。怪しいものではないという保証は?」

「この屋敷の者からいただいたのです。盗んできたもののはずはなく、拾ったものでも、落ちてきたものでもありません!」

 梅子お嬢様はクッキーの包みを抱き締め、私から遠ざけようとばかりに御身をお捻りになりました。

「毒見役を通したものですか」

 私を前には嘘も吐けない梅子お嬢様は、ブルーベリーの一粒も入らなそうな小さなお口を開かないことになさったようでした。

「梅子お嬢様。お答えくださいませ。大切な事項です」

 どこかで小鳥が囀っていました。まるで梅子お嬢様を優しく諭すかのようでした。

 梅子お嬢様の魅力は、太陽に愛され、雨雲は退散し、花は磨かれ、小鳥を惹きつけるほどなのです。

「嫌です。通してないと言ったら、取り上げるのでしょう?」

「問題がなければお返しします。そちらの御品に何か後ろめたい思いでもあるのでございますか」

「ありません! ないけれど、嫌です。離したくないの」

 梅子お嬢様がそう意固地になられることはほとんどございませんでした。梅子お嬢様はその身の上、境遇から諦めることの多い、執着することにお疲れになっているような御方でいらっしゃいました。ですから私どもの提案や叱責について、反発することは大抵なかったのです。ゆえに、このクッキーの正体が私は気になって仕方がありませんでした。

「なりません。御身に障りがあっては事でございます。梅子お嬢様。松竹林殿家の淑女であるご自覚をお持ちくださいませ。梅子お嬢様はわがままでございます。利己的で、自己中心的でございます。ご学友からそうおっしゃられませんか。品行方正な桜子お嬢様を見習われてはいかがでしょう」

 梅子お嬢様の眉にわずかな動揺が見えました。ブリリアントカットの施された金剛石アダマスよりも澄んだお眼が泳ぎました。

「梅子お嬢様」

「……分かりました。けれど本当に何もなかったから返してください。なるべく早く………お願いします」

 梅子お嬢様はクッキーの包みを無防備に曝しました。私は受け取りました。白い手袋越しに一体何が分かるというのでしょう、しかし、そのポリプロピレンの袋を手に持ったとき、梅子お嬢様の余熱を感じたのです。梅子お嬢様の感情の昂りの跡といって過言ではない。

 ああ、梅子お嬢様……私の鄙言ひげんに揺れ惑っていらっしゃるのですね………

「承知いたしました。至急手配いたします」

 梅子お嬢様は俯いてしまわれました。そして私から目を背け続けるのでございました。なんと健気で幼気な、可愛らしい御方なのでしょう。

「話は変わりまして、先程、杏太郎がここに参りましたね。何をお話されていたのです」

 こちらの質問には業務上の必要が半分、私の個人的な興味が半分ありました。杏太郎のような下卑助けびすけ下卑蔵げびぞうの類いは果物籠バスケットのなかのカビたオレンジと大差がないのです。

「周百木には関係のないことです」

「ございます。私は臨時とはいえ明日までは梅子お嬢様の側近なのです。もし梅子お嬢様の身に何かあっては大事でございます。松竹林殿家の大事は世の大事でございます。そのために情報は共有しておくべきであり、何より、悪影響があっては困ります」

「悪影響なんてあるはずありません」

「それは梅子お嬢様がご判断なさることではございません。こちらが判断いたしますこと」

 梅子お嬢様は私の後をついてくる気も失ってしまわれたようです。立ち止まって、滔々とした身投げ瀑布ばくふのような瞳で私を睨むのです。

「天気が好いとか、庭のミモザが咲いたとか、テントウムシを見つけたとか、そんな話です」

 私はこの話を信じました。何故ならば相手が梅子お嬢様だからです。この一点によって、私はこの話を信じることしかできなかったのです。そうでなければ疑っていたでしょう。梅子お嬢様を前にしたならば、世俗の卑語など忘れ、今日という日の喜び、生命の輝き、健やかな緑の香りに胸を躍らせてしまうのは当然の成り行きだからです。一体誰が、梅子お嬢様の前で一介の詩人になることを責められましょう。

「杏太郎もそのような話をするのですね」

「杏太郎は……杏珠郎もですけれど、周百木が思うよりずっと感受性豊かで教養のある人よ」

 梅子お嬢様は孤独な御方です。そのために、そうお思いになるのでしょう。梅子お嬢様は屋敷や女学院だけでなく、外の世界にも出るべきなのかもしれませ。いいえ、そんなことをしては、梅子お嬢様のような御方はって食われてしまいます。悪い男というのは、まず詩人の顔をするものなのです。詩人というのは最も人間らしい魂を持っているからです。

「梅子お嬢様がお相手だからでございます」

 白梅献香園を出ますと伯島がちょうど戻ってくるところでした。

「何をしているんですか。梅子お嬢様のお休みの時間はうに過ぎていますよ」

 伯島は笑っていました。

「梅子お嬢様も子供じゃありません。時間の管理くらいご自分でできるでしょうよ」

 そして軽佻浮薄で軟派な態度で、梅子お嬢様に目交ぜを求めるのでした。

「梅子お嬢様がご自身でできることもやって差し上げるのが側近の務めです。むしろ側近ではやって差し上げられないことこそ梅子お嬢様がお力を割いていただかなければならないことなのです。その態度が改まらないのなら、旦那様にご報告します」

「残念なことにワタシを雇っているのは桜子お嬢様の一存です」

 伯島は私を警戒するでも威嚇するでもなく飄然として梅子お嬢様に向き直りました。

「梅子お嬢様。バレンタインの頃にはここにいやしませんでしたが、ホワイトデーなので、チョコをば」

 伯島は小さな箱を突き出しました。ホワイトデー。私はこの単語に刹那、呆然としました。しかし伯島が蓋を開けたことで我に帰ることができたのです。中には粉にまみれたチョコレートの球体が並んでいました。

「まあ、ありがとう」

 梅子お嬢様は箱を受け取ろうとしました。

「今し方、厨房を借りて作ってきたんです。作りたてですよ。どうですか、1つ、今、召し上がられては?」

 梅子お嬢様は象牙でできたような指を伸ばそうとします。

「なりません、梅子お嬢様。伯島、どういうつもりですか。就業中にこんなものを……食中しょくあたりでも起こしたらどうするのです」

 大体、私以外の男というものは、女性、とりわけ梅子お嬢様に体液入りのものを食わせるに決まっているのです。そういう理解のできない性癖を持っているのです。何故、手前の汚らしいものを食べさせたいのでしょう。それよりも、愛しい人の汚いとされているものを食べたいものではありませんか。手前の汚らしいものを食べさせて同化させるなど、承認欲求の亜種です。体液が口に入ったことで認められた気になるなどとくだらない優越感です。小物の抱くコンプレックスです。

「休憩時間は認められてるはずですぜ、周百木さん。それに炊事斑スイーツ部監修の生チョコですや。毒見役も試食済み。成分分析表はこちら」

 渡された分析表に目を通しましたところ、確かに判定に問題はなく、日時にも嘘偽りはないようでした。

「だから周百木さんの顔は気にせず、お召し上がりになれますよ」

「ありがとう。それなら1ついただきます」

「お待ちください」

 私は懐から使い捨てのウォッシュタオルを取り出し、梅子お嬢様の御手みてを拭かせていただきました。掌は薄く、指は細く、骨張った小さな手でございました。その細やかな肌理きめを傷めないよう、揉むように拭くのです。

「ありがとう、周百木」

 梅子お嬢様は粉まみれのチョコレートの球体を摘んでお口に入れました。ただでさえまばゆいばかりの梅子お嬢様の瞳に星が散りばめられるようでした。

「とても美味しい。ごちそうさまでした。ありがとう、伯島。厨房の方たちにも感謝しなければいけませんね」

「そんな喜ばれると照れちまいますよ」

「ホワイトデーにわたしを覚えてくれていたことが何より嬉しいの」

「当然です。梅子お嬢様がいらっしゃいませんと、始まりませんからな、たっはっは」

 私は梅子お嬢様の御指からパウダーを拭き取りました。梅子お嬢様の触れたパウダーということは梅子お嬢様の一部が付着したパウダーということです。もし他に人がいなかったら、私はこのウォッシュタオルを胃に納めていたに違いありません。

 伯島は残りが入った箱を閉め、リボンを結ぶと梅子お嬢様に渡しました。 

「大切にいただきます」

 梅子お嬢様は箱を抱き締めました。

「あまり大切そうにしていると、怪盗ペシェに狙われちまいますよ」

「わたしのものなんて盗みはしませんでしょう」

 梅子お嬢様は笑っていらっしゃいました。まるでモンシロチョウが羽ばたくような軽やかさと可憐さでありました。可愛らしい!

「不謹慎です。梅子お嬢様も、ご自分の家の財産が狙われているのですよ。危機感をお持ちくださいませ。梅子お嬢様のそのようなお気の緩みが、使用人皆々を不安にさせるのございます」

 梅子お嬢様のお顔が曇りました。私は身震いしそうでしたが伯島もおりますから、どうにかこうにか躍る心を押し殺したのです。

「ごめんなさい……」

「周百木さんもお堅いな。梅子お嬢様だって不安でいらっしゃるはず。そう咎めんでもいいではないですか」

「梅子お嬢様は旦那様、奥方様、桜子お嬢様がご在宅でない今、松竹林殿家の代表なのでございます。そのご自覚を持ってくださらなければ困ります。伯島、貴方もそれをお忘れなきよう」

 梅子お嬢様は焦っておいでのようでした。ご自分の所為で伯島が注意を受けるているとお思いのようでした。

「もういっそのこと、家一番のお宝をエントランスに出せばいいんじゃないですか」

「正気ですか」

「それでも"使用人皆々"は無事で済みますよ。怪盗ペシェがどういう人物かは分かりませんが、用件は明らかにされてるじゃありませんか」

「泥棒に屈しろとおっしゃる?」

 伯島がマスクの下で薄ら笑いを浮かべているのが分かりました。

「あ、あ、待って。わたしが悪かったわ、周百木。だから伯島を怒らないで。庇ってくれてありがとう、伯島」

「梅子お嬢様。これは真っ当な批難であり、怒っているわけでもなければ、私の一個人的な感情に基づくものではございません」

 というのは半分嘘でございました。およそ半分は一個人的に伯島が気に入らなかったからでした。

「梅子お嬢様。梅子お嬢様を庇っているわけではありませんよ。これはワタシ個人の意見です。だってそうでしょう。それが合理的でしょうが」

「それを正論だと思っているようですね。暴論です。そうして泥棒に脅されるたびに家宝を差し出せとおっしゃるならば、松竹林殿家は泥棒の財布ということになってしまうではありませんか」

 梅子お嬢様は私とおつむのよろしくない伯島の間に割り入りました。私のほうに可憐なお顔を向け、まるで私が伯島にハラスメントをしているかのようでした。

「いいのよ、いいの。周百木も伯島も御家のことを考えているのに、わたしったら気が緩んでいたの。ありがとう。2人の意見はよく考えておきます」



 梅子お嬢様は教養のお時間で、付き添いは伯島でした。教養の先生もいらっしゃいますから、私は暇をいただきました。私も厨房を借りて、バレンタインデーのお返しを作ることにしました。ホワイトデーというものを私は存じ上げていなかったのです。

 チョコレートを湯煎しながら、私はバレンタインデーのことを思い浮かべました。バレンタインデーのためにお菓子を作りたいとおっしゃる梅子お嬢様を、私はいさめました。松竹林殿家の淑女たる者、俗事にかまけて勉学を疎かにしてはなりませんと申し上げたのです。梅子お嬢様は素直に聞き入れていらっしゃいました。しかし、杏珠郎が梅子お嬢様をたぶらかしたのでした。朝早く、寝る間を惜しんで勉学に励むお忙しい梅子お嬢様の睡眠を邪魔して厨房を借り、バレンタインのお菓子作りを許したのでした。粗忽者はこれだから困るのでした。私は憎くて梅子お嬢様のお菓子作りを禁じたのではありません。梅子お嬢様のことを心の底から案じて禁じたのです。それを梅子お嬢様に好かれたいあまり、媚びた真似をするのですからほとほと困り果てたものです。しかしながら梅子お嬢様の将来を案じていての禁止というのは建前であり、後付でございました。お菓子作りのひとつやふたつで潰える梅子お嬢様ではありません。梅子お嬢様はそんな低能力な御方ではないのです。私は梅子お嬢様の要望に否を突きつけ、その歪むお顔に快楽していたのです。今でもそのお顔を思い出し、あの時感じた梅子お嬢様の惨めさに感情移入し、昇天することができるのでした。

 私は催しました。チョコレートの甘い香りを嗅ぎながら、身をいきらせていたのです。

 梅子お嬢様はバレンタインデーの当日、私にもチョコレートを作ってくださったのです。しかし私は受け取りを拒否したのです。断わられたときの梅子お嬢様のお顔が見たい、ただその刹那のために、私は一生を棒に振ったと申し上げても過言ではありません。梅子お嬢様が作ったということは、梅子お嬢様の御手垢が混入していてもおかしくはないのです。梅子お嬢様の皮膚片や、唾、或いは髪の毛が混入していてもおかしくはないのです。それを、私は、刹那の快楽のために………

 否、刹那の快楽なものですか。現に私は今、梅子お嬢様のあのときの気拙きまずそうなお顔を脳裏に刻み込み、取り出しては肉体を疼かせているではありませんか。夜毎よごと、私を悶えさせ、喘がせているではありませんか。

 梅子お嬢様………梅子お嬢様………ああ、可憐な梅子お嬢様………私の梅子お嬢様……

 梅子お嬢様の記憶を辿っているうちに出来上がっていたブラウニーを切り、包装していきます。急でしたので飾りはありませんでした。

 そしてバレンタインデーに私にお菓子をくださった方々に配って回りました。

 愛情を以って作ったものに、本当に"愛情"が込められているのならば、これは欲情を以って作られたものなので、欲情料理ということになります。愛情が調味料というのなら、欲情もまた調味料ということです。

 ああ、梅子お嬢様……私が量産したブラウニーのおひとつ、おひとつにも宿ってしまわれるなんて。梅子お嬢様……ああ………

 私は我慢なりませんでした。チョコレートの匂いを発しながら、トイレに籠もりました。ブラウニーにされた梅子お嬢様が食べられてしまう妄想を思い浮かべました。皿の上に乗せられたブラウニーの梅子お嬢様の真横では熱いコーヒーが湯気を噴き上げ、口内調味の恐怖に戦慄するのです。そして噛み砕かれ、熱いコーヒーに焼かれ、飲み下される! 梅子お嬢様の行方を知る者は誰もいない! 梅子お嬢様がどのような末路を辿られたのかも! 哀れな梅子お嬢様!

 視界が真っ白く染まるようでした。


 私はみっともなく臀部を引き絞り、大股を開いていました。私は栗の花の匂いを放ちました。そこにチョコレートの匂いも混じるのですから、私はすぐ傍にブラウニーと化した梅子お嬢様を感じました。

 しかしこれ以上、自慰に費やしている時間はありました。梅子お嬢様のお迎えに上がらなければならなかったのです。

「今日はたくさんチョコレートが食べられて、ホワイトデーって幸せだわ」

 私が梅子お嬢様をお迎えに上がったとき、梅子お嬢様はちょうどお部屋からご退出されるところでした。忘れていたのです。私はすでに梅子お嬢様の側近ではなく、今現在の梅子お嬢様の側近がいることを、私は忘れていたのです。

「お言葉を謹んでくださいませ、梅子お嬢様」

 私がお声をかけますと、梅子お嬢様はようやっと私にお気付きになられたようでした。伯島もそうでした。こちらから声をかけて気付くなど、側近として言語道断。

「伯島。もしこれが松竹林殿家にあだをなす者だったらどうするつもりだったのです。貴方が刺されるのならまだ職務を全うしただけのことですが、梅子お嬢様に何かあったらどうするのです。側近の職務に油断は許されないのですよ。誰もがあの大泥棒のようにご丁寧に日時を伝えてくるわけではございませんし、その日時すら疑わしいのですからね」

「わたしがくだらないお話を振ったせいね。ごめんなさい、伯島」

 梅子お嬢様のライチのように白い御手が絹のワンピースに皺を作っていました。まるで波紋のようでした。

「梅子お嬢様は何も悪くありません。側近たる者、梅子お嬢様のお話を聞くだけでなく、常に神経を研ぎ澄まし、あらゆる危険から梅子お嬢様をお守りしなくてはならないのです」

「そうです、そうです、周百木さんが正しいです。却って梅子お嬢様を萎縮させてしまって、申し訳ありませんや」

 梅子お嬢様は納得していらっしゃらないようでした。俯いて、黙ってしまわれたのです。

「それから梅子お嬢様。本日はホワイトデーであると同時に、泥棒が侵入を宣言している日でもあります。その日に何ということをおっしゃるのです。何のために旦那様、奥方様、桜子お嬢様がご在宅でないのか、ご理解できていらっしゃいますか。使用人皆々も緊張し、気の休まらぬ1日を送っているというのに"幸せです"とは何という為体ていたらく。不謹慎極まりない。そこまで梅子お嬢様が望まれるのならば、毎食すべてチョコレート料理にするよう交渉いたしましょう」

 梅子お嬢様はお顔を上げ、紫水晶アメテュストゥスも価値を失ってしまうほど燦然とした瞳を私に向けました。

「違います! わたし、そんなつもりでは……」

「梅子お嬢様。梅子お嬢様ご自身にそういうつもりがなかったとしても、言葉にしてしまった途端、受け取り手がいるのです。そのとき、梅子お嬢様だけで完結できる問題ではなくなるのです。こんな稚児でも理解のできることを、私の口から申し上げさせないでくださいませ」

「なるほど。ヒステリックで曲解屋、脈絡も読めない周百木さんには何も聞かせないのが吉、と、そうおっしゃられているのですな、なるほど、なるほど。勉強になりました」

 私は伯島を無視しました。この男も杏珠郎と同様、梅子お嬢様に媚びを売るだけの輩なのです。私はその出汁だしで結構でした。私もまたこのような男を出汁にしているからです。このような口先だけ甘たるい不埒な男がいるからこそ、梅子お嬢様は落胆を知り、悔しさを知るのです。なんと色鮮やかな梅子お嬢様……!

「誤解よ、伯島。周百木はいつでもわたしを一番に考えているだけで……」

「それでも言い方はあるでしょうよ。共感を得られなければ納得させられないこもある。そこを上手く立ち回らないで機会を逃すなら、言ってないのも同然ですな」

 伯島は私の鼻先に顔を近付けました。梅子お嬢様は伯島に縋りつきました。 

「喧嘩はよして……お願い。わたしが不謹慎だったの。配慮が足らなかったわ。お父様もお母様も桜子様も避難しているというのに、わたしが呑気過ぎただけなんです。周百木が絶対的に正しいです。けれど伯島だって悪くないの。だから……」

 伯島は確かに腹立たしい男でしたが、泣きそうになっていらっしゃる梅子お嬢様を見ると、このやり取りをやめる気にはなりませんでした。伯島もまた私が感じているのと同じような魅力を梅子お嬢様から感じているのではなかろうか、そんなふうに疑ってしまうほどでした。

「わたし、今日はもう、お部屋でおとなしくしています。頭を冷やします。お夕飯も要りません。今日の周百木の指摘を踏まえて、きちんと反省します」

 梅子お嬢様はスズメも乗れないような肩を落とし、お部屋に向かうようでした。

「一人ではいけませんよ」

 伯島は私の注意を受ける前に梅子お嬢様を追いました。

 



 怪盗ペシェとかいう小洒落た異名の泥棒が宣言した時刻が迫るに辺り、松竹林殿家の空気は張り詰めていくようでした。私も緊張していなかったわけではありません。送られてきた予告状は書体も文体も丁寧なものでした。それは泥棒から連想される印象とは程遠いものでした。私も多少、書道の心得はございました。その目で見ても、書道で食べていけるだけの選択があるように思えました。何故、泥棒になるまでに堕落してしまったのでしょう。

 エントランスには警備隊が配置されていました。そういう話にはなっていなかったはずです。事情を訊いてみますと、それは梅子お嬢様の指示だそうです。エントランスの中心には展示台が置かれていました。中には青い宝石の首飾りが銀色に輝いていました。作り手は本当に首に飾らせる気はないのでしょう。ただ煌々として、重そうであり、資産価値があるだけのように思われました。美術品としてはあまりにも宝石頼りで、下品でしたし、装飾品としての実用性は為さないようでした。本当の美しさというのは、梅子お嬢様が腕に巻いていらっしゃる組紐の手作り腕輪のことをいうのです。梅子お嬢様が時折胸元に刺していらっしゃる流木のブローチのことをいうのです。梅子お嬢様が首から下げていらっしゃる偽物も甚だしい着色されたハウライトのことをいうのです。そうつまり、梅子お嬢様こそが美しいのです。

 資産価値に吸い寄せられた泥棒風情に私は何を同情しようとしたのでしょう。

 私の怒りは沸々として参りました。梅子お嬢様の楚々たる美しさに気付かず、とりあえず輝かせ、石をはめ込んでおけば何かしらの装飾品兼資産になるとばかのひとつ覚えのような作り手の浅はかな魂胆、そしてその輝きを誘蛾灯とでも勘違いして群がる羽虫のような連中に辟易したのです。絶対にあってはならないことで、絶対に阻止すべきことではありますけれども、梅子お嬢様の眼玉を刳り抜きに参りたいと言われたほうが、私一個人としてはまだ理解のできることでした。


 時計の分針が、動くのを見ました。ちょうど、時針と直角を描いた頃でした。エントランスの照明が落ちたのです。玄関扉の上の円花窓から夜の光が差し込みました。

 警備隊は騒然とするでもなく各々職責を全うしているようでした。

 しかしいつまで経っても泥棒はやってこないのでした。私の予想では、玄関扉の円花窓を突き破り、エントランスへ侵入してくるはずでした。けれどもすでに分針と時針は一直線を描きつつあるというのに、泥棒はやって来ないのです。

 私は桜子お嬢様から直々に、非公式的ではありますが、裏の現場責任者としてこの家を預かっておりました。そのために予告状のコピーを持っていたのです。時間に誤りはないか数度読み返しました。そして全文も読み返し、縦読み、横読み、斜め読みも試しましたが、新たな情報を得ることはできませんでした。


 松竹林殿家の秘宝を盗みに参上する――


 この一文が私の目を惹きました。私の固結びに固結びを重ねた怒りがほどけていくのを感じました。

 松竹林殿家の秘宝、そんなものは、梅子お嬢様に決まっていたのです。他に何が、松竹林殿家の秘宝たり得るのでしょう。あんな反射と屈折率の優れた炭素をどれだけ嵌め込めるかのレースをしているに過ぎない物体に、一体何の価値があるのでしょう。現代技術ではガラスやプラスチックで量産できるではありませんか。写真技術と印刷技術或いは通信技術が発達したこのご時世ではどこでもお目にかかることのできる、銀色と青のおめでたい首枷です。私は何故それを松竹林殿家の宝物などと錯覚していたのでしょう。

 私は梅子お嬢様の部屋へ急ぎました。

 案の定、梅子お嬢様のお部屋には泥棒がいました。照明の落とされた部屋に、月明かりが落ちています。外灯の光かもしれません。屋外用の自家発電設備は落とされていないようで、噴水の音が聞こえていました。

 壁際に追いやられた梅子お嬢様と、壁際に追いやった泥棒が私に視線を浴びせました。泥棒は白いマントを携え、私には服装は見えませんでした。

「梅子お嬢様は、松竹林殿家の宝ですね。そこは納得します。ですが目的はなんですか」

「ホワイトデー。ただそれだけですね」

 泥棒は自分の足元に小さな包みを置きました。

「爆弾ですか?」

「ご冗談を。ただ、こちらのお嬢様にバレンタインデーのお返しをしたかったのです」

「どうせ毒物でしょう。毒物はいけません」

「この家には成分分析班がいるようですから。それでは、さらばっ!」

 泥棒はマントを翻し、窓から飛び降りていきました。この家を事故物件にしたいのでしょうか。しかし売りに出さなければ問題はありませんし、ただ泥棒が自らの意思で事故に遭っただけのことですから、何の謂れもありません。

 私は窓から身を乗り出し、敷地が泥棒の脳漿や血反吐で汚れていないか目視しましたが、泥棒はすでに姿を消していました。一見したところ汚れは見当たりませんでしたが、夜でしたので鑑定は明日になるのでしょう。

「周百木!」

 梅子お嬢様が私に近付いていらっしゃいました。梅子お嬢様は私をお抱きになるつもりのようでした。私は梅子お嬢様を突き返しました。そのときの呆気に取られたお顔! 何故照明はまだ落ちているのでしょう! 明るいところで目にしたかった!

「梅子お嬢様。あのような反社会的勢力と繋がりがおありなのですか」

「い……いいえ。そんなはずはありません。そんなはずは……!」

「しかしあの不法侵入者は、梅子お嬢様からバレンタインデーのお返しをもらったと申していました。お返しということは何か差し上げたということでございましょう」

「知りません! 渡していません!」

「梅子お嬢様のお言葉は信用なりませんね。しかし反社会的勢力とは知らなかったことは、信じたことにして差し上げます。日々、愚鈍な梅子お嬢様ですから、信憑性に足るというものです。だから私は止めたのです。俗事にかまけるなと……」

 梅子お嬢様のお顔は、とても明るいところではお見せできないほど強張り、引き攣り、歪みました。そして膝を着くと、泣き出しはじめました。

「それのみならず、自ら松竹林殿家の財宝を差し出すとは何事です。このことは旦那様と奥方様、桜子様にもご報告させていただきます」

 梅子お嬢様は噎び泣き、呻いていらっしゃいました。これです。これこそ盗む価値のある美しさなのです。世の俗塵にまみれた俗人に、本当の美しさというものが分からないのです。視力のある盲人なのです。美学のない連中なのです。

 私は平伏して泣き崩れる梅子お嬢様のお顔を持ち上げ、その絶美ともいえる塩水を永遠のものにしたくなりました。あちらは炭素が大きな顔をして威張っているのですから、生理食塩水が持て囃されても何も問題はないでしょう。

「いつまで泣いていらっしゃるおつもりですか。今日はホワイトデー。ホワイトデーは幸せな1日なのでしょう?」

 私は上擦る声を必死に抑えました。今にも喘いでしまいそうでした。まだ夜は長そうで、これから警備隊に経過を報告しなければならないというのに、私の肉体はまたもや制服を押し上げているのです。本音はいつまでも泣いていていただきたいというのに! 

「いいえ、失礼しました。もう日付が変わっておりますね」

 早く、早く、欲望を解放したくて仕方がありませんでした。梅子お嬢様の嗚咽、震えた肩。私は目を離せませんでした。これが宝です! これが松竹林殿家の紛うことなき宝!

「梅子お嬢様。こちらのお部屋は今から爆発物処理班が参りますので避難しましょう」

 私は梅子お嬢様に触れさせていただきました。泣き濡れた頬に髪が纏わりついていらっしゃいました。






 私は絶好調でございました。桜子お嬢様に叱られたばかりでしたが、気持ちは天気同様、晴れやかでした何といっても粗忽者の伯島が辞職したのです。私のパワーハラスメントに耐えられなかったのだと、桜子お嬢様伝てに聞きました。またそのために梅子お嬢様が新たな側近として私を指名し直してくださったのです。ありがたいお話でございました。梅子お嬢様曰く、梅子お嬢様には私がいなければいけないと、そうおっしゃられていたそうです。

 私は梅子お嬢様をお迎えに上がるために白梅献香園に向かおうとしました。そのときにふとクッキーのことを思い出し、ダストボックスに放りました。手作りの品は即日消費しなければいけません。それにクッキーをホワイトデーに贈る意味についてもお教えしなければなりません。

 私は梅子お嬢様にそうお告げすることを想像し、肉体の起立に身悶えました。


【完】

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15禁版【桜梅桃李】WD2025 .六条河原おにびんびn @vivid-onibi

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