未知の信号

 私は大学の天文台に駆け込んだ。プラネット・ナインの座標に近い領域を観測するためだった。


「また夜通し観測か?」


 同じ研究室の友人、田村が苦笑する。


「例のプラネット・ナイン探しか?」

「ああ、少しでも手がかりを見つけたいんだ」

「まあ、お前のしつこさは認めるよ。発見できたらノーベル賞だから、な」


 田村は冗談めかして言ったが、私は本気だった。夢で見たものが、現実の何かを示しているのではないか。


 望遠鏡を操作し、海王星軌道のさらに外側、仮説上のプラネット・ナインが存在するとされる領域を観測する。光学的な観測だけでなく、電波望遠鏡も利用し、何か異常な信号がないかを確認する。


 そのときだった!


「これ……な、ん、だ、」


 ディスプレイに微弱な電波信号が映し出されていた。


 通常、宇宙空間にはさまざまな電波が飛び交っている。パルサー由来のものや、銀河間ガスからの放射など。

 しかし、

 これは既存のどのパターンにも一致しない。周期的に変化しながら、まるで何かの“コード”のような規則性を持っていた。


「これ……は…………」


 私は思わずつぶやいて、い、た。

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