プラネット・ナイン

島津 周平

繰り返される夢

 あの夢を見たのは、これで9回目だった。


 目覚めた瞬間とき、喉の奥にざらりとした違和感が残っている。まるで微細な砂粒が絡みついたような感触。それが夢の名残なのか、単なる乾燥なのかはわからない。

 ただ、毎回同じ夢を見た後に感じるのは確かだった。


 夢の中では、どこまでも暗い宇宙空間に浮かぶ冷たい惑星が映し出される。地平線には淡い青白い光が差し、黒曜石のように滑らかな表面がわずかに輝いていた。

 それが、

【プラネット・ナイン】――『仮説上の第九惑星』だと、夢の中の自分は確信していた。


 Planetプラネット Nineナインとは、太陽系の外縁部に存在すると考えられている仮説上の惑星である。


 大学で天文学を専攻していた私は、プラネット・ナインには特別な関心を持っていた。

 実際に観測されたことはなく、理論的な推測に過ぎないそれを人はまだ見つけられていないだけで、確かにそこにあると信じていた。


 だが、9回目の夢を見たとき、私はある奇妙なことに気づいた!?


 前回と同じ夢のはずなのに……ほんのわずかに違う…………。


 夢の中の惑星の位置が微妙にずれている。

 地平線の曲率、影の落ち方、光の反射、わずかに変化しているのだ。それはまるで、本当にそこに惑星があり、時間が経過しているかのようだった。


 私はこの夢が単なる幻想ではなく、何かしらを“観測”しているのではないか? と考え始めた。

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