あの青い花の名前は知らない

片山大雅byまちゃかり

青い花

 あの夢を見たのは、これで9回目だった。


 いつもいつも、この夢を見るたびに、自分は青い花が咲き乱れる草原に座っていた。


 これまで体育座り、胡座座り、正座、エジプト座り、割座、ヤンキー座り、お嬢様座り、アヒル座りの順で座っていた。


 今回は抱え膝で座っている。


「なんなのだろうこの夢は……」


 とりあえず立ち上がって、周りを見渡してみたものの、辺り一面青い花ばかり咲いていて、他の色は皆無だった。


 なにか、自分にとって青い花に特別な意味があるのだろうか? 手始めに、花言葉を思い浮かべてみることにした。


 一部抜粋するが、青い花にはこんな花言葉があるらしい『神の祝福』『永遠の幸福』『どこでも成功』『可憐』『幸福が来る』『幸せはあなたのもの』『夢かなう』『思いを告げる』『夢にかける思い』『恋の訪れ』


 生憎、自分は花の種類までは見当ついてはいない。しかし、自分の現状に当てはまる言葉はいくつかあった。


 それは、『思いを告げる』と『恋の訪れ』である。


 そうだ、自分には好きな子がいる。もしかしたらこの空間は、自分自身の心境を表しているのかもしれない。


 夢が覚めたら告白しよう。本当は地面に咲き誇る青い花達を持って告白したい所だが、なんの花なのか一切分からない。


 夢を見始めてから、花図鑑などで夢に出てくる花を探していたのだが、ついに見つけることは出来なかった。


 代わりに『思いを告げる』と『恋の訪れ』という意味を持つ花達で花束を作って、告白しよう。


 そう決心すると、急に草原の地面が割れ始めた。地割れ部分を恐る恐る覗いてみると、アガパンサスとカンパニュラの花束があった。


 自分はその花束に手を伸ばす。掴んだと思ったら、いつのまにか地面を踏み外していて、地割れに落ちてしまった。


 死を覚悟した瞬間だった。時計のアラームが慌ただしく鳴ったのは。


「そうだった。あれは、夢だったんだ」


 はっきり言って、今回の夢は割と恐怖体験だった。


 でも、この夢に隠された意味を9回目にしてようやく理解した。


 あとは自分が行動するだけ。


 想い人を夕方に呼び出し、自分は花屋さんでアガパンサスとカンパニュラの花束を買った。


 約束の時間まであと数十分、自分は高鳴る鼓動を抑えつけながら、青い花束を持って、彼を待っていた。

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あの青い花の名前は知らない 片山大雅byまちゃかり @macyakari

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