03
あ!そうだ、自分の顔、改めてちゃんと見てなかったから見てみよう
そう思い、部屋にある姿見の方を見る。
ちなみに先ほどは混乱しすぎて色彩しか見れなかったのだ。
ベットからおり、トコトコと小さな足で向かう。
やっぱり全部ちっちゃいなあ…
姿見の前に置いてある椅子によじ登り、姿見を開く。
するとそこにはふわふわとしたブロンドの髪を持ち、アメジストの瞳を持つ、ヒロイン、アルベルだった。
やっぱり可愛いなあ…
こりゃ色んな人達が虜になったのも分かるわ
コンコン
扉からノックしている音が聞こえる
椅子からスタッと跳び降り、はーいと返事をする
ガチャ
「アルベル、入るよ?」
そこにはワゴンをカラカラと鳴らしながら押してくるコリアスの姿があった。
!、お兄様がワゴンを押している!?
こう驚いたのには理由がある。
この世界の貴族はお茶を出したり、服を自分で着替えたりそういうメイドの仕事となりうることは絶対にやらないのだ。どんなに下級貴族でもやらないところが多い。
その理由は権威が〜とかではなく、ただ自分がやらないのが当たり前、メイドがやるのが仕事、という考え、常識だからだ。
ちなみに私はこの考えには納得していない。
ワゴンを運ぶだけでも大変だし、用意すること自体もすごい大変だからだ。
「ありがとう」も言わず、なんなんだよ!って小説読んでたときにはつっこんでた。
…話を戻すが、簡単にいえばお兄様がこの世界では珍しすぎるということだ。
「お兄様、ご自分でワゴンを持ってきたのですか?」
「ああ、そうだけど、どうかした?」
お兄様はさも当たり前かのように言う。
「いえ、メイドがついてくるのかと思いまして…」
「うん、メイドには少し止められたけど、僕がやりたいんだと言ったらすぐ用意してくれたよ」
キラキラとした笑顔でそう答える。
うっ、眩しい…
先ほどまでの考えが恥ずかしくなってくる…
…お兄さまって、優しい人なんだなぁ
「そうなんですね、私も次から自分でやりたいです!」
「ああ、メイド長やお母様に怒られなければいいと思うよ」
…まあ、怒られないでしょ!
「さあ、お茶が苦くなってしまうよ。お茶会を始めよう」
「はい!」
お茶会はただただお菓子と紅茶が美味しいだけの会だった。
お兄様とは少し雑談したり、思い出話に浸ったり…。
特に質問攻めにされる。とかはなかった。
…というより私がすごい質問してしまった。
_____________
「お兄様はいつも何をしていらしているんですか?」
「うーん、家庭教師が来たら勉強、来なかったら剣術を学んだり、図書室で読書をしているよ」
「私のお勉強はいつから始まるのですか?」
「数日後くらいじゃないかな。病み上がりだからすぐに、とはいかないと思うよ」
「私は何を学べば良いのですか?」
「うーん、淑女になるための勉強、魔法の勉強、あとはアルベルが学びたい勉強かな」
____________
などとしっかりとめんどくさがらずに答えてくれる。
優しい(泣)
やっぱり“キミヒト”のストーリーと違くなっている?
それともここはキミヒトに似ているだけの世界?
そんなことを考えているとお兄様が
「アルベル、そういえば来月に誕生日パーティーがあるからこれから忙しくなるね」
!、た、誕生日パーティー!?
記憶の中から頑張って掘り起こす
えーと、ファンブックの内容を思い出して…
…アリス様の誕生日しか覚えてない
「もうそんな時期だっけ?、わ、忘れてたな〜。この間もメイドに忘れ物をして怒られちゃった」
しょぼんと肩を下ろす
「ふはっ、アルベルはおっちょこちょいだな」
!?、お、お兄様が笑った!?
こんなに驚いているのは先ほども説明したが小説内ではお兄様は誰にも笑わずポーカーフェイス、嘘の微笑みしか向けず爽やかクールキャラだったからだ
あ、ありえない…
も、もしかして幼い頃は普通の子供だった、?
いや、でもたしか設定では幼い頃から、だったような…
「?、アルベルどうしたんだい?」
「い、いえ、なんでもありません」
「あ、そろそろ時間だ。これで僕はお暇するよ。
そうだ。ディナーには遅れないようにね」
「あ、はい」
ガチャっと音を立ててお兄様は出て行った
諸事情により投稿頻度が下がります。
次回も読んでいただけたら幸いです。
2025 8/12 一部修正
次の更新予定
3週ごと 日曜日 15:00 予定は変更される可能性があります
ヒロインに転生したので脇役になったら愛されたのですが?? あこ @akosayu
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