第4話
夕方はあんなに魔物の騒ぎでドタバタしていたが夜になれば静寂が街を支配していた。その闇に紛れながら三つの影は例の廃墟化した倉庫の前に佇んでいた。
なにやら、落ち着かない様子で辺りを探索してはため息をこぼしていた。
「突然の魔物の襲来で一番被害が大きかったのはここであるのは間違いない。しかし……」
「そうっすね。肝心なアレが無いっす」
「取り敢えずありのままを報告するしかないかねえ」
声の主は顔を青いマスクで隠していて情報が掴めない。他二人も同様にマスクを着けているが、声色からして最初に話しているのが女性でそれ以外が男性であろう。凛とした姿勢からはタダの調査要員として赴かれたとは思えず、まるでここに現れていた魔物と対峙しようとしていたとまでの勢いが伝わってくる。
「なぜ魔物が消えているんだ?いや、この場合倒されていると言った方が妥当か」
「いやぁ、急に現れたんだから急に消えたとしても別に驚かないっすけどね」
女性らしき人は宙に手をかざしてギュッと強く握った。まるで怒っているかの様な雰囲気に二人は体を強張らせていた。しかし、彼女は決して声を荒上げるようなことはしなかった。唯々何かを考えるように宙を睨んでいた。
「———今回の騒動は異常過ぎる。帝国の歴史上初めての出来事だ。ここでの調査は打ち切りだ。今は他二つを当たろう。明日からは周辺への聞き込みだ」
その言葉を聞いてせっせと動き出す二人。一人はポケットから紙切れを拾い上げてこれからの行動の指標を立て始めた。もう一人は銃の様な形をしている鉄製の機械を温めながら、鉛玉を突っ込んだ。
「もし、民間人の中で秀でて強い者が魔物を倒したのならば一番良いパターンだ」
三つの影が倉庫から遠のいて行った。後に残るのはバラバラに破壊されたコンクリートとギュッと拉げたコンテナだけだ。その影が闇に飲まれる前に最後に残した言葉。
「だが、この魔物の反応が消える所までが策略であれば話は別だ。中身を研究させないように用済みの存在を消したというものであれば」
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「あぁ無理。働きたくない」
新聞をある程度読んでから、睡魔に負けてグウグウと寝た。そして次の日になったら無性に動きたくない精神が前に出てきた。昨日までは世界知りたすぎるwktkだったのに、やはり寝起きは一番コンディションが最悪みたいだ。
「というか俺前世は働いてなかったし、しょーがないよね」
疲れで忘れていたけど、前世俺ホームレスじゃん。こりゃあもう癖だ。どうしようもない。なんか昨日までは家が無い事がこの世界では危険すぎるから何とか避けたいとか思っていたけど今は別にこのままダラダラしてたって後悔は無……
「起きるか、永遠の眠りにつくかどちらか選びな?」
急に背後に感じる強者の覇気。布団をかぶっていても随分と寒気を感じさせるものだった。ゆっくり振り向くと、そこには『おかん』がフライパンを持って仁王立ちしていた。
「……おきる」
ハンクはか細い声を出して立ち上がると、眠気眼を擦りながら警備員の職場へ赴いた。
転生したら女神から訳ありチートアイテム授かったので軽く無双していきたいとおもu……ぴぎゃ! インプゾンビ感染者 @saiseisitemiru
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