第3話 霊感が強いマイちゃんの従姉
今回は桃子が二十歳頃、学生時代に聞いた話です。
長い夏休み、暇つぶしに女ばかりで海に遊び行って、夜の海、波音を聴きながら、怖い話を一人一人話すことになりました(何故?^^)
仲間の中で一番怖かった友だちマイちゃんのエピソードになります。
マイちゃんの
***
マイちゃんの母方の親戚は仲が良かったのでよく集まっていた。いとこ同士も年が近かったこともあり、そのうちマイちゃんたちは年に一度集まって「いとこ会」を開催していた。いとこ会はキャンプやBBQ、食事会などです。
マイちゃんの母方の実家が静岡で、その年は法事があるから、お盆に集まって「いとこ会」をすることになった。いとこは二十人くらい。そのうち愛知県の大学に通うため一人暮らししているいとこは、名古屋駅で待ち合わせることに。従兄のマサくんが車を出して送ってくれることになった。
大きなワゴン車に乗って出発します。その中に、あまり会ったことない従姉がいた。名前はミサトさん(二十八歳くらい)、もうすでに社会人。マサくんからは霊感が強いと聞いていた――。ミサトさんはあまりしゃべらずうつむいて独特な雰囲気を醸し出している。
運転手は従兄のマサくん、助手席にマイちゃん。ミサトさんは真ん中、他の従姉妹が後部座席に座りました。
楽しくわいわい会話していた。高速に乗り、静岡方面に向かう。道中山が多くて、トンネルばかり。そうして何回目かのトンネルに入る少し手前で、今までしゃべらなかったミサトさんは突然ことばを発した。
「はあ……最悪。霊がトンネルの前にいやがる……」
ぶっきらぼうな話し方のミサトさんはやれやれというような雰囲気で深いため息をつく。
マイちゃんは(そういえば、霊感強いって聞いたな……)と思い出し、無視するのもなんだし話かけた。ミサトさんいわく、髪の長い女の幽霊が一台一台車の中をのぞいているそうです。
「え? どこですか」
「いないね」
いとこたちもトンネル付近を見たけど誰もいなかった。するとミサトさんは急に大きい声を発した。
「やばい。やばい。こっち見てる! あー。目が合った」
「!!!!?」
車がトンネルに入った瞬間、ミサトさんは話しながら舌打ちした。
「あーあ……。乗ってきちまったよ。チッ……」
「……」
「あたしをガン見してる……」
「……」
「そー。あーもう。だからさー。目が合ったからって話しかけられても困るんだって……ブツブツ」
「……」
「何があったか知んないけど、あたしじゃ無理なんだってば……横にすわらないでくれる!」
「……」
髪の長い女の霊が車に乗ってきたらしい。いとこたちは凍り付く。ミサトさんが霊に塩対応している間、重苦しい雰囲気になって誰もしゃべらなくなった。
マイちゃんは思った――。思いたかった。
(ミサトさんは変わった人だから、きっと虚言癖があるんだよ……)
恐怖の車内。無言のまま三十分後、マイちゃんたちは静岡の本家の実家に到着した。ミサトさんはぼやく。
「あーあ。ここまでついてきたよー。どうすんだよ……チッ」
車から降りるとミサトさんは山の方向に指をさす。
「あっちに逃げていった」
すると実家で飼っていた大人しくてほとんど吠えない犬が突然、山の方に向かって激しく吠えていたそうです。
マイちゃんといとこは目を合わせた。
(もしかして本当だった⁉)
「霊感が強いマイちゃんの従姉」 完
***
ミサトさんは霊は見えるけど、何を言っているのか言葉がわからないそうです。成仏させることができないので、よってこられるのは気の毒ですね。その後も、桃子はマイちゃんからミサトさんの恐怖の霊体験話をしようとするので怖くて逃げました。🍑💦
犬が吠えるのくだり、桃子は「となりのトトロ」を思い出しました。
動物には人ならざるモノが見えるのかな?
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