第14話罪
俺は、二ヶ月間、由美に冷たくされた。『わたしがいるのに何で?』というのが由美の言い分だった。俺は、何回も由美に謝った。由美は腑に落ちないといった様子だった。でも、二ヶ月経過して俺の病気を理解してくれた上で許してくれた。
俺は、大切なものを失いかけて分かった。自分自身の贖罪を。
由美に、甘えていた。
俺は、二つの病気を抱えるのが怖かった。しかし由美にはそんな事より自分を置いて死のうとした太郎が許せなかったのである。
「何で許す気になったの?」
「嫌いになりきれない自分がいたから。」
ありがとうと言って俺は心の奥底から泣いた。こんな自分を好きで捨てない女がいる。それだけで生きている原動力になる。俺は二度と命を粗末にしないと由美に誓った。不器用で良い、最低限な幸せを噛み締めて最高の恋人を見つけた。
離婚してから自分はバツをつけられた気がした。でも、違った俺は由美に出逢うためにバツになって花丸になったんだと。
「浮気より最低な事してくれたね!」
と由美に叱られた。
俺は、最低な人間だが、愛されている。幸せは自分の尺度で決まらない。それを知った。
「たろさん。」
「ゆみさん。」
お互いの名前を呼び合って抱き合った。
由美の温もりは微かに弱っていた。心配をかけた報いだと感じた。
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