異世界からの留学生は若葉色でした
タヌキング
第1話 ゴブミンは女子高生
僕の名前は
とはいえ近年、異世界の存在が発見され、そこに行くためのゲートが開発され、異世界人との交流が盛んに行われることになり、異世界人が異世界ファンタジー物のライトノベルやアニメを見た際に「こんなことは私の世界では無いよー」と、言っているとか言ってないとか。
ともかく、異世界人との交流は積極的に行われており、とくに高校や中学などの留学生が最近の流行りである。コチラの世界から向こうの世界に留学するのはもちろんとして、向こうの世界からコチラの世界に留学するのも盛んである。
そういうことなので、二年生になって早々に、僕のクラスにも異世界からの転校生がやって来た。それもただの異世界人ではない。なんと僕らが魔物と呼んでいる種族の女の子が留学して来たのだ。
「はい、皆さん静かにして下さい。騒ぎたい気持ちは分かりますが、あまり騒ぐと彼女に失礼ですよ」
僕等の担任の男の先生はそう言うけど、教壇に立つもう一人の存在にクラスはざわめている。僕だって騒ぎはしないけど興奮は冷めやらない。だって肌は緑色で耳が尖った、僕が夢にまで見たゴブリンさんが目の前に居るんだから。まさかこの日本でエンカウントするなんて思いもしなかったが。
「はい、自己紹介して」
先生に促されるまま、ゴブリンの女の子は自己紹介を始めた。
「私の名前はゴブミン、王魔の谷のゴブリン集落からやって来た。歳は17歳だ。よろしく」
簡素な自己紹介だったが見た目のインパクトが強すぎて、最早何を言っても同じことだっただろう。彼女の容姿を順に説明すると、肌の色は緑色として、髪型は長い髪を後ろで結んだポニーテール、目は迫力のある三白眼、スレンダーなのに豊満な胸の持ち主であり、ウチの制服を着ているのだが、スカートの丈は少々短めで大分セクシー路線のゴブリンさんである。
「はい、皆。異世界人の留学生が来て驚くのは無理は無いが、これから二年ほど一緒の学び舎で勉強するわけだから仲良くする様に」
ゴブミンさんの留学期間は二年。僕は大いに仲良くしたい。異世界のことをもっと知りたいし、男として可愛いゴブミンさん自体にも興味があった。
仲良くする足掛かりとしてガンガン話し掛けて行きたい。実はその環境は整っているのである。
「席はと……田所の右隣が空いてるな。ゴブミンさん、あそこの席に座ってくれ」
はい来た。僕は一番後ろの席であり、その右隣りの席は空いていたのである。他に空きの席も無いので、こうなることは必然的、つまり運命が僕に味方したというわけだ。えらいぞ運命の神、パッとしない人生だったけどココに来て運気が向いてきた。
ゴブミンさんはスタスタとコチラに向けて歩いて来る。その際にクラスメート達の視線が彼女に釘付けになるが、僕はあえて目を逸らした。近づいて来る女性に対して目を合わせられないシャイボーイとは僕のことである。
ゴブミンさんは無言で僕の右隣りの席に座った。初対面の人と話すのは恥ずかしいが、ここで挨拶が出来ない様ではゴブミンさんとの交流はいつまで経っても出来ないだろう。僕はなけなしの勇気をかき集めて彼女に挨拶することにした。
「ど、どうも田所 心って言います。こ、これから宜しくお願いします」
動揺は隠しきれていないが僕にしては上出来である。これでゴブミンさんが僕に笑いかけてくれたら最高なのだが、いつだって僕の人生はハードモードである。
「お前……馴れ馴れしいな」
はい、怪訝な顔をしての塩対応いただきました。好感度がグンと下がった気がするけど僕はめげないぞ‼頑張れ僕‼
こうしてゴブリン留学生との若葉色の青春が幕を開けた。
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