Recording

何もない時間だけ、また過ぎていく

蓄音機に吹き込んだ夢物語に耳をすまして

他愛のない痛みなら、くだらない愛を語る

星を掬いとった子供騙しは、淡々と言うの


近づく鼓動の音を、気づけば失くしていた

よく似た自傷だけが頭を巡る


霧が濃くなった人生の悲愴曲ひそうきょく

また1つ、レコードを掛けようか

錆びれた銀河の彼等達へ

願いを呼ぶ、希望を託す


今は、ただ左手の星屑だけに


人知れず、流れては隠した涙

想い出の形を人魚姫の箱に閉じ込めている

テレフォンに泡を飛ぶ、眩み謎を知る

幻影のお月様なら、私を救うだろう


近づく針の音と痛みを重ねていた

騒がしい街の中で頭に響く


涙から生まれる霧を掻き分けて

ただ1つ、磁石で貼り付けられた夢

水溜まりを蹴飛ばす中性子星

手招きされる、finaleへ


ただ、息ついていたいだけ

それだけだ


氷が砕ける音、時針じしんが繋いだ磁場

寒い寒い核の中で、頭に響く


霧に見失った、そらの欠片

第一宇宙速度に、極光を促す

何故か懐かしく染まりゆく


星空が覆った夢の道しるべ

天の川から手を伸ばしても届かない

レコードに読み込まれたrequiem

消えていく、傷を呼ぶ


今は、ただ君を探している

それだけさ

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る