ジーク

それを分かつように、これも分かつように

心臓がびくびくと呼吸を続けたの

君はいないように、僕もいないように

色鉛筆でなぞられた戸棚に隠したの


ああ、透明なリボンに首を通して

手首も介すの

純情な淡い空を飲み込むほど

一欠片のことば


君を嫌うように、僕も嫌うように

きっかけは綿を詰められた縫いぐるみ

君を疑うような、いっそ責めるような

言い訳が出来ないほどの苦渋に身を殺してる


Siegfried


ああ、十二時半の秒針が私の指の

宝石と一つになってしまうの

透明な赤い空を欲しいと、ねだる

幼子のように


まるで消えるような

それは逃げるような

プレゼント箱の中身を当てるような

愛するような

愛されるような

薄いカーテンに巻かれた

恋人のような


ああ、透明な淡い空を見上げて僕は

赤色のリボンを通すの

まだ、後悔のない世界だから

渇いた花も一滴ひとしずくことば

生きた辛さを取り戻すよ


ああ、早計な深い空が君を見つけて

オルゴールの螺子ネジに巻かれぬように

まだ、透明な夜空の星々と

切り取った蜂蜜みたいな浅いことば

大事にするよ

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