滴る言葉の冷たさと記憶

失くなる回廊の季節

ただ温かな日々を願えども

溺れ、世界を見失う


抱き締めた証に紅桜くれないざくら

葉の一片に奪われぬように

緩い涙のテラリウム

ひらりひらひら

ひらりらり


頬に沿わせたサリチルの雨

ぱちぱち落ちる灯火よ

去り行く彼の人との別れを背に

幻燈付けた夜


あのね、抱き締めて、ただ愛おしく

冬が来るその前にペディグリーを越えて

ただ二人の世界へ

ひらりひらひら

ひらりらり


傷跡埋める落命と落日

カラカラと遠ざかる下駄の音

砕かれた指先に紅を押し当てて

ひらりひらひら

ひらりらり

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