第2話

ある朝、幼な子に紙人形を持ち帰ると

子の声も気配もなく

女に問えば

「ああ、喰らうたわ。お山に女は二人要らぬわ」


艶然と微笑み言い放つ。


やはりこの女は人外のものであったか。

男は滂沱の涙を流し

紙人形を食い破る。


それから幾年重ねたか

男は老いさらばえて

横たわり

若い男達に囲まれた

出逢った日から変わらぬ女を

見つめ

その若き男らは我が息子達なのだと

溜め息こぼす。


妻となりし女は男児は喰らわず

いとおしみ育て上げ

まぐわうのだ。


紅一点の魔物


美しい……と呟き

男は絶え果てる。美しい……と呟き

男は絶え果てる。





美しい……と呟き

男は絶え果てる。






美しい……と呟き

男は絶え果てる。







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紅一点の魔物 @oboto

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