ダークな世界観の中に少年マンガ的な熱さとセリフ回しが光る、とても引き込まれる物語でした。
単なる力のぶつかり合いではなく、相手の能力を読み合い、状況を利用し裏をかく、まさに知略と覚悟のぶつかり合いであり、能力バトル好きにはたまらない緊張感が味わえます。
特に印象的だったのは『心海』という舞台設定です。電脳世界を思わせるその空間は、湿気やカビ臭さといった五感を刺激する描写がリアリティを与えており、幻想的でありながらも圧倒的な閉塞感と不気味さを漂わせていました。この舞台だからこそ成立するトリッキーな駆け引きや、能力の応酬がより映えていて、読んでいて次に何が起こるのかがまったく読めない展開に目が離せませんでした。