第7話
今日も今日とて、魂の回収。
オレは適当に夜の空を飛びながら、目的地へ向かう。
どうやら、事故で死んだばかりの魂がいるらしい。
まぁ、回収するだけだからサクッと終わらせるか――と思って降り立った瞬間。
「……あ?」
目の前に、見覚えのある白い翼があった。
亜麻色の髪。
やたら整った顔立ち。
白い足がすっぽり隠れるローブ。
いかにも「神聖な天使」って見た目だけど、オレは知ってる。
こいつ、見た目に反して、性格めちゃくちゃ悪い。
名前はアメス。
そう、以前オレが回収の時にうっかり羽を掴んじまった天使だ。
向こうもすぐにオレに気づいて――その瞬間、顔が一気に険しくなった。
「あ”ぁ”っ!? テメェ!!」
「げっ!?」
オレは思わず一歩引く。
いや、ちょっと待て。
天使ってもっとこう、上品で清らかな喋り方じゃねぇの!?
なんで第一声がそれなんだよ!?
「お前この前はよくもやってくれたな!?天使の羽がどれだけ神聖なものか分かってんのか!? つーか近づくな!! 汚れる!!」
「ちょ、ちょっと待てって! あれは事故だって! マジでワザとじゃねぇから!」
「事故だろうがなんだろうが、こっちは死ぬほど屈辱だったんだよ!! つか、死神のくせに人の羽にベタベタ触んなクソが!!」
……なんか、思ってたより根に持たれてる!?
「いやいや、お前天使だよな!? もうちょっと言葉選べよ!?」
「はぁ!? うっせぇ!! てめぇら死神が回収に手間取るから、こっちも余計な仕事増えるんだろうが!!」
「えぇ……」
この前会った時から、"神聖な天使"ってイメージがガラガラ崩れていくんだけど。
「…アンタがいるってことは天国行きのやつがいんのか?」
「当たり前だろ……ったく、死神ってホント地味な仕事してんな」
「うるせぇ、こっちはこっちで大変なんだよ」
アメスは「チッ」と舌打ちすると、未練なく成仏する善人の魂をサッと抱え込む。
――で、その時にオレと目が合ったんだけど、
「……二度とボクの羽に触れるなよ?」
めっちゃ怖い顔で釘を刺された。
「わ、わかった……」
なんか、次ヘタにミスったらマジで粛清されそうなんですけど……。
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