第2話
「え、キミ瞳さんでそんなこと妄想してたの?」
「………」
「やめてー!凛君もルカちゃんも、そんな疑うような目を僕に向けてこないで…!」
2人の視線に耐えきれなかったのか、優斗は両手で自分の顔を隠す。
それでも羞恥が消えないのか、ちょんまげが不安そうにふるふると震えていた。
…とりあえず、この妙な空気をなんとかしよう。
「えっと…、それで唯は、それをどうするの?」
それ、と言いながら、優斗の黒歴史(らしい)を指差す。
私の質問にキャラメル色の瞳を煌めかせた唯は、「さすが瞳先輩、よくぞ聞いてくれましたぁ!」と身を乗り出した。
「俺は暇なんですよぅ!」
「おチビちゃんが暇だからって、知ったことじゃないよね。瞳さんが暇なら、俺は頑張って楽しませようと思うけど」
女性至上主義の凛は、今日もばっさりと同性の言葉を切り捨てる。
けれど唯は引き下がることなく、「凛、そんなこと言っていいワケぇ?」と煽るように告げた。
「俺は暇だから、この紙と同じようなことをしたいんですよぅ。瞳先輩と付き合ってることを妄想したり、瞳さんと実際にあれやこれやしたことを記録し、」
「よしおチビちゃん、さっそくやろうか。その紙に書いてるのと同じこと」
「待っ、凛君の手の平返し早すぎないー!?ほんと黒歴史になるよー!?」
「じゃあ優ちゃんは不参加でいいですよぅ。俺たちだけ瞳先輩と楽しむんでぇ」
「な…っ、そんな危ないことできるワケないでしょー!?瞳ちゃんの身の安全は僕が確保するからねー!?」
「なら優ちゃんも参加ですねぇ」
いやあの…、すでに私が参加することになってるんだけど。
言ったところで、たぶん不参加にはさせてもらえないだろうけど。
「一葉も参加でいいよねぇ?」
「………」
「ねぇ一葉、ねぇねぇねぇねぇ」
「…うるさいもう参加でいい」
ああ、いつもの流れで一葉の参加も決まってしまった…。
「ちぎりんも参加しますよねぇ?」
ソファーの上で三角座りをして眠っていた契に、唯は構わず声をかける。
グラデーションアッシュの髪を揺らして、ゆっくりと瞼を持ち上げた契は。
「…アイス美味しい、ね?」
「はい、ちぎりんも参加でぇ」
嘘でしょ…!
今の絶対契は話聞いてなかったでしょ…!?
だがしかし、そんな事実などどうでもいいワケで。
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