開幕は便乗から

第1話

それは珍しく生徒会メンバーが揃った、ある日の朝の出来事。




「俺パソコン部屋でこんなの見つけちゃったんですけどぉ」




パソコン部屋から出てきた唯が、少し古びた紙の束を持ってびらびらと振って見せる。


あれはなんの紙だろう…。


みんな首を傾げる中、真っ先に反応したのは白い長ソファーで私の隣に座る優斗だった。




「ちょ待…っ、唯ちゃんそれダメなヤツ…!」




妙に慌てた優斗の赤いちょんまげが、動揺したように揺れている。


優斗はあの紙の正体が分かったのか…。


パソコン部屋に、優斗が慌てるようなものを隠してあったかしら。




「おチビちゃん、その紙何か書いてるけど?」




訝る凛の質問に、唯は「ふっふっふ」と意味深に笑う。




「なんとこの紙には、優ちゃんの妄想が書き連ねられてるんですよぅ!」



「やめてー!僕の黒歴史ー!!」




優斗の黒歴史で、妄想を書き連ね…、ああ。




「それって優斗が暇潰しに始めたアレのこと?」



「…うん、僕が暇潰しに遊んで書いたヤツー」




わぁ、懐かしい。


それは去年までの、まだ昴が生徒会長だった頃の生徒会メンバーで遊んだものだ。




「…入谷、それ何が書いてあるんだ」



「一葉のくせに珍しく気になるんだねぇ」



「…いや、流れで聞いただけ、」



「そこまで言うなら教えてあげるよぅ」




いや、『そこまで言う』ほど一葉は何も言ってないんじゃ…。


そもそも『流れで聞いただけ』って言ってたわよ。


『もう面倒だから教えてくれなくていい』みたいな顔してるわよ。



しかし唯がそんなことを気にするワケもなく、彼は毛先がピンクのブロンドヘアを揺らして意気揚々と告げる。




「なんとここには!瞳先輩が昴君以外と付き合ってる妄想話や、瞳先輩とあんなことやこんなことをした記録が書かれてるんですよぅ!」




言い方…!


内容はその通りだけど、その言い方じゃ変なことしてるみたいじゃないの…!

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