第16話 最強のアーツク

あすか「…まさかだけど、壁のアーツが新しいアーツだなんて思ってるんじゃないよね?」


かな「思ってるけど、違う?」


あすか「あれは嘘だよ。おそらく彼は想像のアーツク。初対面でカッコつけて壁なんて言って、嘘丸見えなのよ。ダサいし」


想像のアーツク……壁は嘘?

やめてよ、嘘なんて見抜けないよ。


あすか「彼、私に喧嘩売る気らしい。いま分からせてくるから待ってて」


あすかちゃん、そこは買っちゃだめだよ。今のあすかちゃんは毒舌で機嫌悪そうだから、強そうに見えはするけど、男の子相手だし……。


かいさんも、なんで女の子に喧嘩売ったんだろう?このままじゃ、喧嘩勃発だ……。


……私って、仲裁に入らないといけない?


かい「アーツ使う時にさ、なんか技の名前みたいなのがあったらカッケェのになー」


かいさんが言ったのと同時に、2人(かいとあすか)の間に石の壁が、地面から出てきた。


かい「例えば、これは″壁ドン″とか」


あすか「……気持ち悪い」


出てきた壁が倒れてきた。このままじゃあすかちゃんが潰れてしまう!


かな「あすかちゃん!危ないよ!」


思わず目をつぶった。壁が倒れて、″ドンッ″という大きな音がすると思って耳も塞いだけど、音はしなかった。


かいさんが空中を撫でた。何かを察したのか、あすかちゃんがバラを出してかいさんのほうへ飛ばした。



ブスッ



バラはかいさんの目の前で、空中に刺さった。

ん?何も無いのに刺さった!?


あすかちゃんは、バラをさらに4本飛ばした。刺さった4本のバラは、かいさんの目の前で見事に長方形を作っていて、まるで″見えない壁″を″見えるようにした″かのようだった。


かいさんが透明の壁を作っていたんだ。


かいさんが透明の壁を見破られて焦っている隙に、あすかちゃんは、トゲトゲのバラの茎を地面に潜りこませていた。



ズズズズ……



かいさんはこの事に気づいていない。


あすかちゃんがさらに、バラの花びらを含んだ風をかいさんに向けて放ったからだ。


かいさんはとっさに壁で防ぐ。だけど、塞がれた風はフェイクだったみたいで、かいさんの上空にバラの花びらを含む小さな竜巻が渦を巻いていた。


今度は、かいさんが球体のバリアのようなもので身を守った。すると竜巻は大きくなって、バリアごとかいさんを空中でくるくる回しだした。


地面に着いたかいさんのバリアは解除されていた。目の焦点があっていないことから、アーツが使えないくらい目が回ったんだろうな。


地面でよろけているかいさんの周りには、バラの花びらがたくさん落ちていた。


弱っている隙を見逃さず、地面からバラの茎が伸びてきて、かいさんを拘束した。


かい「痛い!痛いから、そんなに強く縛らないでくれよ。」


あすか「いいえ、私はあなたに腹が立っている。このくらい当然よ。それより早く話して」


かい「分かったから!……喧嘩売ったのはバラのアーツの種が欲しかったからだ」


あすか「……私が持っているのは植物の種だけ。私は人格なの。」


かい「はあ!?何、説明が少ないぞ。もっと詳しく……」


あすか「ぼろぼろになった結末がこれだなんて。可哀想」


あすかちゃんに言い捨てられたかいさんは、ガックシと肩を落とした。


かな「かいさん、大丈夫なの?」


あすか「アーツで弱らせてるから、しばらくは立つことも出来ないはず」


いくらなんでもやりすぎでは?って思ったけど本人の前で口には出せない。


かな「かいさん、大丈夫ですか?」


かい「……なんだよ」


怖い!めっちゃ睨まれた。弱ってるからと思って勇気をだして声かけたのに、態度は弱らないんだ。


かな「えっと……怪我、とか。あの、私も想像のアーツクなんです」


かい「そうか。怪我は大丈夫だ。お前、あの女とはどういう関係だ?」


かな「あの人が人格じゃない時の人の、親友です」


この説明合ってる?伝わるか心配。


かい「へー。だからあんなに仲良く喋れるんだ」


かな「そんなに仲良いふうに見えますか?」


かい「ああ、だって俺と喋ってるときめっちゃ毒舌だった。早くどっかいけオーラ全開だった……辛い」


かな「あはは、そうですね」


かい「それに、あいつ現存する最強のアーツクだしよ。まともに喋ってるの見聞きした事ないぞ」


ん?


かい「……知らなかったのか?アーツクなら知ってるかと思ったけど。″あすか″っていう名前で、バラと風のアーツの使い方がめっちゃうまい。ワンチャン種ゲットしたら俺も最強かなーって思ってたけど、無理だわ」


えー、なにそれ。知らなかったよ。さきはなんでそんな重要なこと教えてくれないの?


それに、人格の名前がなんで知れ渡ってるの?


かい「よし、バラのアーツ解除された!じゃ、帰るわ」



親友の人格が最強のアーツクでした、って突然言われても受け入れられないよ!さき、早く戻ってきてちゃんと説明して……。



あとがき

壁が倒れた時に音がしなかったのは、あすかがわまりを考えて音のアーツを使ったからです。

また、かいがしばらく立てなくなったのは、バラの花びらを使ったアーツのせいです。

バトルシーンがうまく書けているといいのですが。(初めて書いたので)

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