憂鬱症

TAN

まえがき

 檻のような人生を過ごしてきた。

 憂鬱感に囚われる日々。その檻から解放されることは決してない。



 「散々な人生」というよりは、「特筆すべき所がない人生」という方が正しい。

 私がしてきたことと言えば、いつ命を絶つのかと考えることくらいで、日々その思いに駆られてきた。


 何故何故と疑問文を投げかけることがもたらしたのは、結局のところ、極度の疲労感だった。


 私は1冊の手記に向かって、この文を綴っている。

 これは、遺書というほどのものではない、ただ私が憂鬱症に囚われていた日々を書き留めた手記。それだけだ。



 この手記から得るものは何もない。

 私は読了後、諸君が何らかの心的変化を感じることに期待しない。

 そこには希望もなければ、絶望もない。あるのはそこにいたという余韻、すなわち存在感だけだ。


 私がこの手記に対して、これ以上のメッセージを込めることはないだろう。

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