yo say, ヘーイ!
改案堂
ちぇけら!
「ヘーイ!ヨ・セーィ!ヘイヘーイ!
あんたも宇宙船♪アタシも宇宙船♪ 旅は道連れ世は情け♪ッヘイ!
迷い込んだが同船せにゃね♪困ったあの娘にゃ恩を着せ♪ッヘイ!
ここからアッチ、あっちからコッチ、行けども行けども一緒にね♪
っへーい!!」
ぺちん
「いったーい!なにすんのこの変態!」
むぎゅ
「ゴラだれが変態じゃ、この無賃乗車の害虫」
「ちょちょっと翅掴まないで!
害虫?!こんなに可愛い妖精ちゃんを捕まえて、なんて失礼なドビチャビンかしら!」
「ふっざけんなこの密航虫が!
どーもダクトから異音がして酸素濃度の減少が異常だと思ったら、お前が原因か!」
「な、なによ!酸素なんて、ちょっとぐらいこのキューティなアタシのために使ったっていいじゃない!
むしろステージ代払ってよね!」
「おー強気だなこの虫風情が。
おいアイちゃん、この無駄酸素消費虫を船外へ放り出してくれ」
「ハイ、マスター」
「ちょちょちょっとまって!ねえそこの大きくて魅力的なお兄サマ?
こんなか弱くていたいけでビューチホーな妖精ちゃんが孤独な宇宙の旅に連れ添ってあげるのよ?
ラッキーだと思わない?」
「全然、ちっとも、まったく。
だいたいお前さん無賃乗車以前の問題なんだよ。
この船みてーなおんぼろカーゴ式の貨物船はな、搭乗員の為に資源なんざ最低限しか割いてくんねーの。
たとえお前さんみたいなチンチクリンが独り紛れ込んでも、こっちゃ死活問題なんだよ」
「失礼ねこの可憐なレディを捕まえてチンチクリンとは。
アタシにはカ・ス・ミってゆーかっわいー名前があるのよ」
「おうおうそのかっわいーカスミちゃんはどっかに潜伏して密航してきたわけだな?」
「だーって、惑星エルダーのアイドルオーディション!行くのにちょうどよかったんだもーん」
「もーんじゃねえよ……っておい、この船の行き先はエルデールだ、乗り間違えてんな?」
「えーっ!ひ、引き返して!あーんオーディションがぁー!」
「諦めな、行き先変更は不可能だ。片道2か月、道連れだ。
それよりお前さん、見たところ身長は……50cmくらいか?」
「そ、そうよ……まさか!アタシの事狙ってるんじゃ?!」
「ちっげーよ、大事な話だ。
てーと体重は5kgってとこか」
「しっつれーね!そんなある訳ないでしょ!ヒューマンの新生児より重いじゃない!
2.よ……けふん、2.1kgよ」
「2.4kgな。
ヒューマンと同じくらいの代謝だとすると、息吸うだけでオレら酸欠で死ぬ」
「はぁっ?!なによそれ!」
「マジだ、さっき言ったろ最低限の資源しか積んでねえって。
お前さんの体重はオレの3%ぐらいだ、その分酸素消費量が増える。
するってーと最初は動悸や頭痛、続いてチアノーゼに最後にゃめでたく心肺停止。
食べ物・飲み物は制限できても、呼吸は制限できねーだろ?」
「うわーマジかー……ど、どうすればいい?お兄さん息止めてくれる?」
「ばーろーお前さんが息止めろぃ!……と言いたいところだがよ、アイちゃんなんかイイ案ない?」
「ハイマスター
睡眠時間設定ヲ6時間カラ8.4時間へ設定変更スレバ可能」
「あっ、そうか。代謝を意図的に落としゃいいのか!
さっすがアイちゃん、AIのなかでもバツグンの別嬪さんだねー!」
「本日カラ供給アルコール量モ減ラシマショウ」
「わーごめんアイちゃん愛してるから!」
「やっぱりおっさん変態じゃん、コンピュータなんかに媚び売って」
「わっばバカめったな事言うんじゃねーよ!
それにオレぁソノラスってー立派な名前があんだよ。
しょーがね、お外にポイも寝覚めわりーから乗せてやんよ。
これからはキャプテン・ソノラスって呼べよな」
「わーいソノおっさんありがとー!
お礼にダンス披露しちゃうね!yo say, ヘーイ!くるくるー」
「ゴラおめー話を聞いてなかったのか!
踊るんじゃねーステイ!ステイだカスミ!」
「ソレヨリ本日ヨリ食事制限デス、マスター」
「えぇー……三度のメシより食事が好きなのに……」
「どんだけ食べるの好きなのよ」
宇宙貨物船長ソノラスと制御AIアイちゃん、妖精族カスミちゃんの旅は始まったばかり。
さあ、明日はどっちだ!
yo say, ヘーイ! 改案堂 @kai20220512
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