第二章「はじまる物語」

第11話「始まる終わり」

『竜』それはこの世界において最強とされてきた生き物。

魔王という規格外が生まれてからもその世界の頂点として君臨し、初代勇者と共に悪神を討ち取ったとされる。


初代勇者の死後行方不明になったと









「…」


分かっていた、気配察知系に引っかからないこと、生命反応がないこと、魔王がと言っていたこと。


竜は一昨日…










死んでたんだ













「ただいま」


竜の死体を回収した後、すぐに家に…竜のいたダンジョンに帰っていた。

安心のできる場所に居たかったのか、はたまた勇者達に会いたかったのかは自分でもわからない。

ただ一つ言えることは…


このことは絶対に勇者達に伝えなければならないということだ。


「「おかえり〜!」」


そう言いながらこちらにすごいスピードでやってくる勇者と子竜。


「カロノさんは見つかった?」


「お父さんは?」


今この場で言うのは酷か、そう判断し私は報告を少し先延ばしにすることにした。…いや、自分自身が言いたくないのかもしれないね。


「ちょっとまって」


「「?」」


「お腹すいた〜」


「あっ!ご飯ならもうできてるわよ!」


「一緒に食べましょうお師匠様!」


「うん、ありがとう」


本当に、本当に、この子達は純粋だ。

何の探りも入れずただただその言葉を信じてくれる。……だからこそここで言う。言わなければあの結末未来には至れない。


「おいしい?」


「やっぱりエリカ最近腕を上げてきたね、とてもおいしいよ」


「師匠に喜んでもらえて何よりだわ!エリックはどう?おいしい?」


「うん!おいしい」


そんな会話をしている時に私は話を切り出す。


「ねぇ二人とも、聞いてほしいことがあるんだ」


「「なに(かしら)?」」


「竜、カロノなんだけど…彼はもうこの世にいないんだ」


「………え?」


「………………………」


完全に子竜は動きが止まり勇者に至ってはご飯を食べ進めて……ご飯を食べ進めてる…?

脳がショートしたせいか同じ動作を繰り返しずっとご飯を食べているようだ。意味不明だな。


「師匠…?それって…本当なの…?」


「うん、本当だよ」


「え…あ…」


まだ身近な人が死ぬという感覚が無いせいかおかげというべきか、涙は出ずに頭が混乱して脳の処理が追いついていないようだ。


私は、私のやりたいことをやる。それはずっと変わらない。だからこそ、私は…







_ _ _ _ _ _ _ _ _ _


あれからまた5年がたった。勇者と子竜はもう16歳になったが竜のことをまだしっかりと覚えている。


「そろそろかな?」


「どうかしましたか?お師匠様?」


「あぁ、これから話があるから子竜を呼んできて」


「は〜い」


もう十分強くなった。あとはモンスター…魔物と戦いレベルを上げ、魔王を倒すだけだ。

レベルはもう上がってるんじゃないかって?

いや、この修行で私がしたのは基礎を鍛え上げること、つまりは初期ステータスの向上をさせたわけだ。つまり勇者と子竜のレベルは1でありまだ伸びしろがあるということね。


「師匠?どうかしたのかしら?」


「これから2人には魔王討伐の旅に出てもらう、だからそのためのお金と私の加護、そしてとあるアイテムをやる」


「「ええええええ!?」」


「お、お師匠様…私はまだ未熟でそんな魔王の討伐にだなんて…」


「もう未熟じゃ無いような気もするけど……まぁいいか、ねえ勇者、未熟だからこそ旅をするんだ。もっと強くなるためにこのままずっと私と打ち合いをしてもこれ以上の大幅な成長は見込めない」


「……はい!」


やる気を出してくれたようで何より、それじゃあ加護とアイテムとお金を…


「それじゃ加護はもう与えたからこれ」


「「!?」」


ざっと一人1000万サナくらいかな?


「お、おおおお師匠様?このお金は一体どこで…?」


「しかも私達それぞれこんなに大量に…」


「お金は街の娯楽で稼いだ、あと加護でアイテムボックスが使えるからそこに入れておいたら良いよ〜」


「「……」」


「それじゃ、最後にアイテム、これは餞別として受け取ると良い」


「これは…狐面というものですか?」


「私のは髪飾り?」


「それぞれのアイテムが神器…この世界じゃアーティファクトって言うんだっけ?」


「「えぇ!?」」


「じゃ、あとは仲間でも何でも作って魔王の討伐に勤しむといいそれじゃ」


「瞬間移動」


これであの二人はこの世界の冒険者と言う者たちから始まりの街と呼ばれる街に飛んだ。


「さぁて私はこれからどうするかね」


新しい娯楽でも探すとしようかな〜


________________________ _ _ _ _


魔王side


「…〜以上が今日の報告となります」


「そうか」


遂に勇者とあの…忌々しきトカゲの娘が動き出したのか…


「それにしても魔王様相変わらずその格好似合いませんね」


「うっさい!」


帝国の皇帝side


「なに!?始まりの街で異常な魔力反応だと?!」


「はい、それも2つ神聖魔法に使われる魔力に近いことからおそらく十六年前に行方不明となった勇者と…その仲間かと思われます」


「遂に、遂に魔王に対抗することのできる力が人類にも…早急にその勇者とやらを連れてこい!魔王の討伐に向かわせる!」


「はっ」


➖️➖️➖️➖️➖️➖️あとがき➖️➖️➖️➖️➖️➖️

第二章開幕!第十一話如何でしたでしょうか!

十六年間動かなかった世界が動き出す…けどまぁきっと神は楽しく娯楽を追求していくんでしょうけどね。

ここまで読んでただきありがとうございました!次もよろしくお願いします!

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補足:神が村人の蘇生が出来たのに竜の蘇生ができない理由は死因が違うからです。

魔力というのは空間や時に干渉してきます。

そんな魔力の塊をぶつけられて魂の一部の存在が消されてしまった為です。

消された部位↓

下顎、右目、右手、心臓、肺、大腸、尻尾

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