のようなもの
山猫拳
◆
妖精を見たのである。妖精とは人間の姿をしていて
ある種の霊感を持つ者だけがその姿に気づくため、この現代では存在しても
こんなことを書いていては、
上り下りの電車の間には何もなく、電車が来なければ向かいのホームは丸見えの状態である。用事を終えて、
平日の午後だったためか、ホームにはぱらぱらと人がいる程度で混みあってはいなかった。ふと時間が気になって、
懐中時計を取り出して
長いホームの中央付近にいた
驚く
しかし、男は
老人の目の前に
少女はくるりと
余は混乱した。どうやら少女に気づいているのは、一人きりなのである。
再び向かいのホームに目を戻すと、少女は真剣に書物を読みながらホームの白線に立っている青年の周りに引っ付いて自分の存在を主張しているところだった。青年の背後に立ち、右に左にちょこまかと動き回って本の背を
青年は書物に集中していた。突如、少女は青年の右斜め後ろに回ると、両手を肩まで上げて、青年を突き落とそうとする動きを始めた。何回かやったところで、本当に青年に当たりそうな勢いで手を伸ばした。
「あっ……!」
目を
余は下を向いて電車に乗り込んだ。
するとそこにはもう少女の姿はなく、青年も老人も背広の男も何事もないかのようにそこにあった。
何をしても誰にも声を掛けられず、気にも
了
のようなもの 山猫拳 @Yamaneco-Ken
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