第3話「本当は言いたかったこと」
卒業式が終わり、夕方。
体育館の裏で、貴之は理桜と並んで座っていた。
「ここ、よく一緒にサボったよね。」
「お前が誘ってきたんだろ。」
「そうだったっけ?」
理桜は笑ったが、少しだけ寂しそうな表情をしていた。
貴之は、言葉を探していた。
本当は――
「寂しい」
「行かないでほしい」
でも、それは言えなかった。
だから、代わりにこう言った。
「……またな。」
理桜は驚いたように彼を見つめ、それから優しく笑った。
「うん。またね。」
そして、最後に――
「大好きだよ、貴之。」
貴之の顔が、一瞬にして真っ赤になった。
「なっ……!」
「ふふ、恥ずかしがってる!」
理桜は楽しそうに笑いながら、手を振って去っていった。
貴之は、胸をぎゅっと押さえながら、小さく呟いた。
「……バカ。」
それでも、心の中ではちゃんと返事をしていた。
「俺も、だよ。」
「またね、大好き」 mynameis愛 @mynameisai
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます