第3話「本当は言いたかったこと」

 卒業式が終わり、夕方。


 体育館の裏で、貴之は理桜と並んで座っていた。


 「ここ、よく一緒にサボったよね。」


 「お前が誘ってきたんだろ。」


 「そうだったっけ?」


 理桜は笑ったが、少しだけ寂しそうな表情をしていた。


 貴之は、言葉を探していた。


 本当は――


 「寂しい」


 「行かないでほしい」


 でも、それは言えなかった。


 だから、代わりにこう言った。


 「……またな。」


 理桜は驚いたように彼を見つめ、それから優しく笑った。


 「うん。またね。」


 そして、最後に――


 「大好きだよ、貴之。」


 貴之の顔が、一瞬にして真っ赤になった。


 「なっ……!」


 「ふふ、恥ずかしがってる!」


 理桜は楽しそうに笑いながら、手を振って去っていった。


 貴之は、胸をぎゅっと押さえながら、小さく呟いた。


 「……バカ。」


 それでも、心の中ではちゃんと返事をしていた。


 「俺も、だよ。」








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「またね、大好き」 mynameis愛 @mynameisai

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