第2話「変わりたくないもの」

 「なぁ、卒業しても、あんまり変わらないよな?」


 廊下で、和総(かずさ) がぽつりと呟いた。


 「結局、地元に残るやつも多いし、またすぐ会えるしさ。」


 彼は現状維持を望むタイプで、今の関係が変わることを無意識に恐れていた。


 「まぁね~。」


 適当に相槌を打ったのは、紗慧(さえ) だった。彼女はいいかげんな性格で、あまり深く考えずに流されることが多い。


 「でもさ、連絡取らなかったら、意外とすぐ疎遠になっちゃうんじゃない?」


 その言葉に、貴之はドキリとした。


 確かに、どれだけ「変わらない」と言い聞かせても、時間が経てばいつの間にか距離ができてしまうものだ。


 ――理桜とも、いつかそうなるのだろうか?

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