第2話 妖精さんと天使さん
シシリー・メアリー・バーカーさんを知ったのは、デパートの年末のカレンダーの売り場でした。私には古き良き海外かぶれな所が少しあるので、そこで英国の天使のカレンダーを探していました。
天使のカレンダーは見つからなかったのですが、シシリー・メアリー・バーカーさんのFLOUR FAIRYSというカレンダーを見つけました。
『羽が生えてはいるけれど、天使ではなくて妖精……』
でも、カナダで買ったカードに使われていたイラストがありました。
大好きなイラストです。妖精さんと花とピンクのカレンダーです。
購入しない理由がありません。
天使を探していて妖精を買ってしまいましたが、どっちも大好きです。
ただ、多少の葛藤はありました。
たとえ、羽が生えていたとしても、妖精と天使は違います。妖精でも羽が生えている妖精と生えていない妖精もいます。妖精と妖怪と精霊の区別もはっきりとはわかりません。
強いて言うなら、妖精は昆虫の羽っぽくて、天使は鳥の羽っぽいです。
ここでトリの降臨です。天使さんとトリさんは近いのか? ずっと、気になってはいたのですが、『降臨』なのです。やんごとない立場のモノが天から降りてくることを言います。
トリさんは天使なのかもしれません。
そう考えれば納得できます。トリさんは降臨してくるのです。かわいい。
シシリー・メアリー・バーカーさんの妖精さんは、チョウの羽のような物です。カラフルで光が当たるとキラキラするような羽です。
妖精と言えば、一般的にキラキラピカピカで背中に羽が生えているイメージです。けれど、違うらしいです。たぶん、そのイメージに近いのは風の妖精のシルフィードなのではないかと思います。風に吹かれて羽で飛ぶイメージがあるので。
土の妖精のグノーシスは羽はなく、カラフルな帽子のお洋服を着て地中に住んでいます。水はウンディーネで火がサラマンダー。羽がついていることもありそうですけれど、必ずしもあるわけではありません。
そして驚くべきことは、妖精さんの羽はつけたり外したりできることがあるようです。アニメのシュガーアップル・フェアリーテイルを観ながらこのエッセイを書いていたのですが、その羽は特別な扱いでした。そこの妖精には生まれた時は2枚の羽がありますが、一枚を人間に持たれてしまうと逆らうことができなくなります。取られてしまった羽を痛めつけると、それが妖精に伝わって苦しむことになります。そして使役されてしまうのです。主人公のアンは、それが嫌で羽を妖精たちに返して、友として振る舞います。ただ、シュガーアップル・フェアリーテイルの羽は取ってしまったら戻らないみたいです。
一方、花から生まれた親指姫は、数々の冒険を経て、昆虫の羽を背中に付けてもらって妖精の王子と結婚します。確かそんな感じでした。どういうこと? と改めて思いました。
天使さんは神様の使いで、羽は2枚だったり6枚だったりします。
羽がついていてキラキラしていても、妖精さんと天使さんでは全然違います。小人さんも妖精さんに分類されます。
ついでに言うと、羽が生えていて弓矢を持っているキューピッドはギリシャ神話の美の女神アフロディーテの息子の愛の神クピドのことで天使ではありません。
クピドの持つ弓は金の矢で射られるとはじめに見た人に惚れてしまい、鉛の矢を射られてはじめに見た人を嫌ってしまいます。一目ぼれはクピドの仕業ということです。そしてとっても強力な神様です。
弓が小さなことを太陽神アポロンがバカにして、怒ったクピドはアポロンに金の矢を射て、アポロンが一目ぼれした精霊に鉛の矢を射て、アポロンが振られてしまいます。怒らせるととっても恐ろしいのですが、実は彼はとってもイケメンです。大人になった彼はとっても美しいのです。そして人間の娘が妻です、確か。
天使は神様の使いで、クピドは神様です。ただ、クピドの使いが天使かというとそうではなくて、一神教と多神教の違いもあります。
羽がついているという共通項で、一緒くたにされている気がしますが、
全然違います。
そして調べるととっても面白いです。
Fairy Tale 玄栖佳純 @casumi_cross
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