【KAC20253】突然現れた本を試しに読んだら、見事に本の世界にはまりました。

ほしレモン@カクヨム低浮上

第1話

私、本野しおりは、勉強机を見て「ん?」と首をかしげた。

そこに置いてあるのは1冊の本。表紙から察するに魔法ものバトル、すなわち異世界ファンタジーと呼ばれるジャンルの本が置かれていたのだ。


今までこんな本、家になかったはずなのに。


でもなんか気になってしょうがない。


今まで本は文字がいっぱい並んでいて見るのでも嫌だったのに、なんかこの本は読んでみたい。読みたい、読んでみたい!


気がついたら本を手に取って読み進めていた。勉強なんかやらずに、夜も、朝起きても本、本。そうすると1週間もしないうちに読み終わってしまった。


「面白かったーーーッッ!! 本ってこんなに面白いんだ!!!」


そこからはずぶずぶと本の沼にはまり、高校生にして超有名な異世界ファンタジー小説の執筆を手掛けているとか……。




そのころ。いつからかしおりの家に住み着いていた本の妖精たちが会議をしていた。


そして、『○○文庫初の高校生作家! 今後の活躍に期待』と書かれた新聞を見て、アタシ、ヨーはやった、と手を挙げた。


「うむ。よくやった」


横でうなずいているのはアタシの友達、ウー。青いとんがり帽子をかぶっていて、いつもは不愛想なんだけど、こうして任務が達成できた時は珍しく笑ってくれる。


「今回もお疲れぇ。あの子はちょっと難しかったけどよかったねぇ」


そう言って笑うのは、黄色の帽子の末っ子、セー。

ぼんやりとしていて基本寝ているけど、笑うとアイドルみたいに可愛い。


「20万部、突破だってヨ。嬉しいヨ」


独特なしゃべり方の緑色の妖精はイー。ヨー、ウー、セー、イーの4人合わせて、本の妖精4兄弟。AIとかスマホとかが発達している中でも、本はやっぱり守られ続けてほしいから。


本が嫌いな人に、その人の好みを分析して『変われるきっかけの本』を届けるのだ。


単純だけど単純じゃない。


「本の神様―ッ! 力を貸してくださってありがとうございまーす!」


私が天に向かって手を合わせると、ぽわーと光って本の神様、トリが降臨した……!!


「「「「トリの降臨!」」」」


光る神様に向かって、深々と頭を下げる。


そして一気に飛び上がって、住宅地を見渡す。


何年後、何十年後の世界でも、本が愛されますように。

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