ぼーっとしていたら、隣にいました

奏流こころ

第1話

 告白する勇気がなくて、どうしようもなくて、逃げていたら、海にいた。


 砂浜に座って、ぼーっと海を見る。


 片想い、なんて実らない。

 ましてや初恋というワードがくっついているから、ややこしい。

 よけいに、実らない。


 悲観的に考える自分に情けなさが込み上げる。


 つー…


 涙が流れた。


 もう夕方だ。そろそろ帰ろう。


 ところで、さっきから、ザッザッと音が聞こえる。

 誰かいるのかな…。


 キョロキョロと見渡すと、いた。


「どうして?」

「追っかけてきた」


 いつの間にか、好きな人が、隣にいました。


「言いたいこと、あるんでしょ?」


 ドキッ…ドキッ…ドキッ…


「それ聞くまで、俺、帰らないから」


 ドキッドキッドキッ…


「分かるんでしょ?」

「言わなきゃ知らないのと同じ」


 屁理屈ばっかり、なんて思った。

 けど、その通りだ。


「あの、ね…」


 私は好きな人に告げたのだった。

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ぼーっとしていたら、隣にいました 奏流こころ @anmitu725

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