この作品を読んで真っ先に行ったことというと、「静岡県下田市」について調べること、という人もいるのではないだろうか。私がこのレビューを書いた時点では、下田市はどうやらアジサイの季節だそうで、あじさい祭なるものが開催される旨が記載されていた。
また、市自体も海に面しており、とても美しく、自分が海辺出身ではないのもあってか、幻想的で異国的な雰囲気も感じさせてくれる。
そんな素敵な市に帰郷してきて、人々の温かさに触れる主人公の様子が物語では描かれる。仕事で成果を出して、それなりに立場もあり、客観的に見れば「成功者」や「勝ち組」なんて言葉が似合いそう。しかし、それだけでは何かが違う。一体何が「違う」のかを主人公が人と触れ合いながら考えていく物語であるように感じられた。
成功も幸せも一種類だけではない、そう改めて思える作品。帰郷も悪くない、と思えるのではないだろうか。