学院案内

〜寮 エントランス〜

《階段を降りていくと、人の話し声が聞こえてくる》

《広い玄関には机と椅子が並んでおり、生徒たちが談笑している》


ビスケット「ここは交流スペースになっているんですよ」

「寮監さんに挨拶しましょうか」


《ビスケットとともに寮長のもとへ。交流スペースの隅にはカウンターがあり、赤い髪の女が座っている》


ビスケット「おはようございます、スカーレットさん」


スカーレット「おはよう……おや、ビスケットじゃないか。そちらの子は新人さんだね?」


スピカ「は、はい。よろしくお願いします」


スカーレット「あたしは寮監のスカーレット。よろしくね」


ビスケット「寮監をまとめる、寮監長さんなんですよ」


スカーレット「そう。一番偉いんだ」


《スカーレットは立ち上がると、近くの引き出しからブレスレットを取り出した》


スカーレット「これを渡しておこう。学院生である証みたいなものだよ」

「この腕輪に編み込まれた魔法は君に結び付けられている。寮への出入りや、あとは図書館で本を借りる時とか、身分を示すものになるから外さないようにね」

「安心して、水に濡れても平気だから」


スピカ「ありがとうございます」


《スピカは受け取ったブレスレットを左腕につける》

《柔らかい紐で結ばれたリングには宝石がはめ込まれている。微かに魔力が伝わってくる》


ビスケット「最初は気になっちゃうかもしれませんね。でもすっごく大事なものです」

「さて。寮監さんたちのお仕事は、寮の見回りや備品の調達など……」


スカーレット「ま、簡単に言えば生活のサポートと指導だね」

「あたしは普段ここにいるから、生活で困ったことがあったら相談してみてくれ」

「ビスケットは気さくで話しやすいが、ドジなところがあるからな」


ビスケット「うっ、そ、それは、何とかします!」


〜庭園〜

《寮を出て、広い緑地へ》

《ちらほらと生徒の姿》


ビスケット「あっちには噴水があるんですよ。芝生で寝っ転がるのも心地いいです……!」

「こほん!向かって右側に見える建物が、学舎!教室や図書館があります」

「お次は学院長に会いに行きましょう!」


《学舎に向かって歩いていると、すれ違った少女が声をかけてくる》


???「おはようございます、ビスケットさん。そちらは新人さん?」


《ベージュ色の短い髪、スミレ色の瞳の背の高い少女》


ビスケット「おはようございます!今、案内をしているんです」


???「そうなのね、お邪魔してしまったかしら」


ビスケット「いいえ……」


《ビスケットは答えながら、ハッとしてスピカの方をちらりと見た》


スピカ「は、はじめまして。スピカです」


???「はじめまして。私はライラック、よろしくね」


ビスケット「ライラックちゃんはとっても優秀な生徒なんですよ」


ライラック「光栄です。私が力になれることがあったら、遠慮なく言ってちょうだいね」


スピカ「うん、ありがとう」


学院生「ライラックー!」


ライラック「はーい今行くわ。それじゃ、またね!」


《ライラックと別れ、学者の中へ》


ビスケット「学院長のお部屋は4階なんです。昇降機があるので使いましょう」


スピカ「しょうこうき?」


ビスケット「はい、これです」


《ビスケットは、柵で囲われた木の小部屋を示す》


ビスケット「この中に入ると、組み込まれた魔法が上の階まで引き上げてくれるんです」

「便利ですよね!学院長室が4階なのは不便ですけど……」

「ともかく、乗ってみてください」


《促されるまま囲いの中へ》

《すると、小部屋ごと上へ。あっという間に4階に到着する》


スピカ「わあ、あんまり揺れないんですね」


ビスケット「そう、すごいでしょう?でも身を乗り出してはいけませんよ」

「さて、学院長室は目の前です」


《すぐ近くの扉をノックして、中へ》


〜学院長室〜

???「ようこそスピカさん。学院はあなたを歓迎します」


《出迎えたのはゆったりとした黒いドレスを着た朱色の髪の女。瞳は暗い灰色》


???「わたくしは学院長のテラコッタ バーミリオンです。お見知り置きを」


スピカ「よろしくお願いします」


テラコッタ「学期の途中でやって来る子は少なくありません。幸い、今学期は始まって間もないですが……少しずつ、慣れていけばよいですからね」

「先程、お部屋に資料を手配しました。わからないことはビスケットやスカーレット、周りの子たちにも聞いてみてくだい」

「わざわざここに上がって来るのも大変でしょう」


《ビスケットはうんうんと頷く》


テラコッタ「もちろん、いらした時には歓迎します」

「それでは、あなたの行く先に光あらんことを」

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