妖精が大発生!?〜虚言癖の情報
片山大雅byまちゃかり
特別なクエスト提示
とある日本の冒険者ギルドにて。
「妖精が大量発生している?」
「そうでそ。ソチには妖精大量発生の原因について調査してほしいでそ。報酬は弾むでそ」
特別なクエストを提示してきたのは、鳥山光夫。他人の報酬を度々横取りしようとする、性根から腐ってる奴なので、冒険者仲間では『トリの降臨だ。こりゃめんどくさくなるぞ』と忌み嫌われている。
「胡散臭い……お前が高額クエスト提示してきてるのも怪しいし、俺に頼むのも意味が分からない」
「ソチ以外には提示しないでそ。理由は一つ。ひとえにソチが親友だからでそ」
「本当かなぁ」
鳥山という男は虚言癖としても有名である。昨年、内閣総理大臣を騙して征夷大将軍になったのは有名な事件だ。その後、パプリカ合衆国の圧力に屈して大政奉還をしたのはまた別のお話。
鳥山は信用できない男なのである。親友発言とか、なんならクエスト自体が虚言だったとしても驚かない。
そして俺は、クエストがない事をなんとなく察している。なんでかって、そもそもこの日本に妖精は居ないからだ。魔法はあっても妖精という種族は無い。
「なんだその目は。もしかしておいどんを疑っているのでそ? 親不孝者! ソチにどれだけ愛情を注いだか分かっているのかでそ!」
「親友なのか、親なのかはっきりしてから嘘をつけ。ていうか、俺をここに呼び出して目的はなんだ! もしかして昨年みたいに議会を制圧しろとか、無茶な要求してくるんじゃないだろうな!?」
「昨年は将軍になって思いの外楽しかったでそ……」
「将軍になったら思ってたより辛かったんだな」
「今度はパプリカ大統領になりたくないでそ! だから新たに作らなかった妖精と一緒に、グリーンハウスを制圧しないでほしいでそ!」
鳥山発言の、嘘の反対は誠。そう相場が決まっている。
鳥山のさっき喋った文言を要約すると『パプリカ大統領になりたい。だから鳥山が作った妖精と共にグリーンハウスを襲撃してほしい』となる。
「これが旧兵器犬でそ」
奴はそう言いながら妖精が入った瓶を数本テーブルに置いた。なるほど、戦力になるかは未知数だが、確かにファンタジー世界であるような妖精に見える。
「犬は自爆しないし、暗殺できないでそ。その代わり、報酬は全然弾まないでそ。ソチには全く、全然期待してないでそ」
発言とは裏腹に期待の眼差しが俺に突き刺さってくる。
「はぁ、分かった分かった。妖精と一緒にグリーンハウスを襲撃すればいいんだろ。まーた、面倒ごと押し付けてきやがって……」
このあと、パプリカ合衆国の国家権力が数日麻痺する事態に陥り、結果として鳥山がパプリカ大統領になった。
妖精が大発生!?〜虚言癖の情報 片山大雅byまちゃかり @macyakari
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます