🏁 Chapter 2 -《First Drive: 試しのバトル》
バトル開始:首都高C1内回り――
芝浦JCTを抜け、浜崎橋JCTに向かう区間。ここから本格的なバトルが始まる。
彩主がアクセルを踏み抜き、四駆のWRX STIが地面を蹴る。
エンジンが吠え、路面を引っ掻くようにして加速する。
直紀のFC3Sがすかさずスリップストリームを利用し、彩主の背後にピタリと張り付く。
直紀(この距離なら、普通は少しでもブレーキを早めるはずだ……なのに、こいつは――。)
(全然、ペースを落とさねぇ……! どころか、むしろ上げてきやがった!?)
彩主はまるで気にも留めていない。むしろ、コーナーごとにスピードを上げていく。
直紀(……こいつ、なんでここまで踏み込む?)
(いや、違うな……これは"気にしてねぇ"走り方か。)
(……だったら、終盤に確実に綻びが出る。)
直紀は冷静に状況を分析し、「決定的な隙」が生まれる瞬間を待つ。
前方に一台の車が現れる。モブ走り屋のシルビア S15――。
モブA「……なんだ? 速いのが来たな……!?」
次の瞬間、彩主のWRX STIと直紀のFC3Sが、モブの左右を超高速で駆け抜ける。
モブB「うおっ! なんだ今の速さ……!」
「玉響の彗星」と「紅蓮の旋律」――
モブAは、その通り名を知っていた。
モブA「嘘だろ……コイツらかよ!」
あまりのスピードに、モブBは反射的にハンドルを左へ――
二台の車がシルビアの横を風のように駆け抜けた。
モブB「……無理だ。アイツらの領域には、絶対に届かねぇ……。」
モブAのシルビアは、静かに左車線へと寄った。
その走りは、まるで"別の次元の戦いを目撃した者"のようだった。
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車の間を縫い、ジェットコースターのようなコースを抜け、彩主のWRX STIが先行しこれ逃されまいと直紀のFC3Sがぴったりと食いついてくる。
彩主(やっぱり、2年先にやってるだけあるわ。振り切りに行こうとペース上げてもついてくる。でもこの膠着状態が続けば、あっちが辛いからな、ペース上げるだけ上げて振り切り行かない走り方に差はあれど無駄にタイヤ食わさせるからな、行くならやるしかねぇ!)
アクセルを踏み込んだその時だった。
彩主のWRX STIのリアが、一瞬だけ流れた。
彩主「やべぇ!タイヤが抜けたぁ!?」
細かい修正で持ち直すが、そのわずかなロスが勝敗を分けた。
直紀は、その瞬間を見逃さなかった。
直紀(……やっぱりな!)
冷静に外側のラインをトレースしながら、一気にアクセルを踏み込む。
彩主の隙を突き、FC3Sがスムーズに前に出る。
直紀「ここしかねぇ!」
最終ストレート、前に出たのは――直紀だった。
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八重洲トンネルを抜け、P.A.に滑り込む二台の車。
静寂が戻る。
彩主がタバコを取り出し、ライターをカチリと鳴らす。
彩主「……チッ、やられたわ。」
直紀が車にもたれかかる。
直紀「無茶しすぎだろ、お前。」
彩主は軽く笑いながら煙を吐く。
彩主「結果的にお前が勝ったんだから、グチグチ言うなよ。」
直紀はため息をつく。
直紀「いや、言うわ。次も同じことやってたら、どうせ負けるだろ。」
彩主はニヤリと笑う。
彩主「バーカ、次は負けねぇよ。」
直紀は肩をすくめた。
直紀「……ほんとかよ。」
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🏁 後日談(モブたちの会話)
モブA「昨日のC1、やばかったな……。」
モブB「ああ。『玉響の彗星』と『紅蓮の旋律』がバトってたらしいな。」
モブC「俺、途中でチラッと見たけど、マジで異次元だったぞ。」
モブB「どっちが勝ったんだ?」
モブA「『玉響の彗星』だろ?」
モブD「いやいや、『紅蓮の旋律』だって。コーナーごとに追い詰めてるんだぞ。どっかで抜かれてもおかしくないだろ?」
モブA「とはいっても、『玉響の彗星』は先行してたし、追い詰めようとしてもぶっ飛んだ突っ込みで逃げるだけだぜ?それこそ事故ってもおかしくないだろ。」
モブD「……事故で思い出したけど…昔さ、ここでヤベェ事故なかったか?」
モブA「は? 事故なんて腐るほどあるだろ。」
モブD「いや、そうじゃなくて……たしか、大破したトラックと乗用車が絡んで……。」
モブC「あー、なんか聞いたことあるな。確か……乗ってた奴、死んだとか……。」
モブB「いや、死んだのは運転手のほうで、もう一人はギリ助かったとか……。」
モブA「にしても、首都高でそんな大破するか? よっぽどの状況じゃなきゃ無理だろ。」
モブD「だからさ……昨日のバトル見てたら、ふと思い出したんだよ。」
遠くで二人のバトルの話で盛り上がる中、チューンショップの整備場で隆と隼人は車を弄りながら会話を続けていた。
隆「……昨日、彩主の車見たか?」
隼人「タイヤの削れ具合を見れば分かるさ。攻めすぎて、後半持ってくれずどっかでタイヤ抜けたんだろう?」
隆「ああ。直紀がそれを見越したんだろう、直紀のタイヤは酷く削れ切ってない。つまり、最後のコーナーらへんで、外から抜いた……ってとこだろうな。」
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大川家のガレージ。彩主が車の整備をしている。
隆が工具を持ちながら話しかける。
隆「……で? またやられたか?」
彩主が顔をしかめる。
彩主「うるせぇよ。」
彩主は次のバトルを見据えている。
隆はふっと笑い、静かに言う。
隆「お前の走り、分かりやすいんだよ。」
隆「……だからこそ、まだまだ甘ぇな。」
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首都高parallel-Rev&Revolve ジード @j33d
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