首都高parallel-Rev&Revolve

ジード

【プロローグ - 《Parallel Roads》】







東京――眠らない都市。


日付が変わっても、街の灯りは消えない。

ビル群のネオンが夜空を染め、高速道路の高架下にはオレンジ色の街灯が並ぶ。

止まることのない都市の鼓動、それはまるで心臓の鼓動のように絶え間なく響いている。


だが、都市が目を閉じる時間が近づくにつれ、別の"鼓動"が生まれる。


  エンジンの咆哮――夜の静寂を切り裂く音。


首都高速道路。

東京を貫くこの道は、昼と夜とでまるで違う顔を持つ。


昼間は整然とした交通網。

しかし、夜になると、それはもう一つの"戦場"と化す。


ヘッドライトの帯が光の流線を描き、白いガードレールに映り込む。

まるで流星の軌跡のように、消えることなく連なっていく。


その中に、異質な存在が紛れている。

一定のリズムではなく、アクセルとブレーキを絶妙に操り、車列の間をすり抜ける者たち。


彼らは「走り屋」と呼ばれる。


法も、安全も、常識すらも関係ない。

この世界で通用するのは、たった一つのルール。


  「最速であること」  



---


  【最速を求める者たち】


東京という街は、速いものを求める。

情報も、経済も、人の流れも、すべてが速度を持つ。

ここでは、立ち止まることが"敗北"を意味する。


そんな都市の片隅に、誰よりも速く走ることに全てを懸けた者たちがいる。

彼らにとって、首都高はただの高速道路ではない。

それは"証明の場"――速さこそが、彼らの存在意義を示すもの。


「最速」とは何か?


  直線の加速か?


  コーナーの攻略か? 


  テクニックか? それとも、本能か?


かつて、"最速"と呼ばれた者がいた。

誰にも追いつけないほどの速さを誇り、首都高の王者と称された男。


しかし、彼はある日、突然姿を消した。

誰にも理由を告げず、夜の闇へと溶け込むように。


彼が去ったあとも、伝説は生き続けている。

「最速」は終わったわけではない。


それを証明するかのように、新たな挑戦者たちが今夜もアクセルを踏む。



  「伝説を追う者、伝説を超える者。」

  「この道に、何を刻む?」



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