第7回議題『お手洗い漫才というかお手上げ万歳というか-①』
「今日は
「びっくりした。どうしたの。今日の
今日はお呼びがかからないな、なんて思っていた。まさか直後に『
「それよ。緩利さんの変なツッコミが癖になるの。もっと聞きたいわ」
「変なツッコミ……」
ご
「言葉を返すようだけど、四十内さんも大概だからね?」
「フッ、承知しているわ」
だからなぜにしたり顔? 度々こういう話題で自信に満ち溢れた風なのがわからない。
「だからこそ、よ。私に釣り合いとれるのは緩利さん、あなたくらいのもの」
「……理屈はわかったけどさ、理由のほうがわからないよ。まさか、お笑い番組にでも感化された?」
どうも四十内さん、ミーハーなところがある。きっと障害物のあるフィールドアスレチックを観た後は、一人筋トレに励むだろう。格闘技を観た後は気が大きくなるだろう。
そういう人だから。
「毎年、学校が新入生に向けたレクリエーションを行っているのは知っているわね?」
「あぁ、あるね。部活動紹介なんかをステージでやるアレ」
書道パフォーマンスとか、軽音部のライブとか。室内でやるだけあって運動部はできることが限られ、サッカー部ならばリフティングくらいだろうか。あとは、野球部あたりが流行りのネタをコピーしたり──。
かすかに……今、少し線になりかけた。点と点に、
ぼんやりと背景としてのみ捉えていた録音機材と、放送室でもあまり似つかわしくないスタンドマイクにピントが合っていく。
「まさかとは思うけど」
「察しがいいわね。そのまさかよ」
その反応で、皆まで言わなくともわかる。出し物をするんだろう。自称おもしろ教師のやるような、愛想笑いが関の山である"お笑い"を。
「……ん? でもさ、新入生
新入生歓迎会の見るも無惨、聞くも悲惨なな有様。それを鮮明に思い出せたのは、記憶に新しい今年度の惨状を見ていたからだ。
「来年度に向けた予行練習よ。昨日、テレビで往年の漫才ブームを取り上げていたの。観た瞬間にキーンと来たわ」
「せめてピーンと来てよ……」
何がキーンと来てるんだ。飛行機でも突っ込んできたのか。冷え冷えする思いで頭がキーンと痛んでくる。
「コンビ名はヒョータンソーアイよ」
「ひょうたん?」
瓢箪相愛? 瓢箪と何が愛し合っているんだろう。駒だろうか?
「意味は対照的な二つが作用し合うことよ。漢字だと固すぎるし、ひらがなだと少し柔らかすぎるからカタカナで」
瓢箪の相手はどの駒だろう。王手は逃げるか積みだから、瓢箪とは向き合わないだろうな。などと思考を遊ばせていると、四十内さんがそう教えてくれた。
ヒョータンソーアイ。絶妙に売れなそうなコンビ名だ。愛称はヒョータンだろうか。
「ネタはこちらに。軽く読んで後はセンスでお願い」
そんな思いを胸に、手作り感満載のホチキス留めされた薄い冊子をめくる。
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